忍者ブログ
  • 2025.02
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2025.04
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2025/03/11 00:34 】 |
010 解放10


ヘルゲンから脱出してから、レイロフと俺は走り続けた。
・・・とは言っても、俺はどこへ向かっているのかも理解してない。

「とりあえず、俺の姉貴の家に身を潜めないか?丁度近くのリバーウッドにあるんだ。」
「リバーウッド?」
「ああ、川沿いの小さな村だよ。夜通し進めば、明け方には着けるだろう。」
「どうせ行く当てもないし、助かるよ。」
「よっしゃ。それじゃ決まりだ。」



途中、突然レイロフが立ち止まったかと思うと、正面の山を指差して話し始めた。

「頂上に遺跡が見えるだろう?あれは古代ノルド人の墓地さ。はっ!毎日墓に見下ろされて暮らす姉貴たちの気が知れないね。」
「俺は、そんな説明を唐突に始めるあんたの方が理解できないけど。」



「それより、こっちの石は何だい?ドデカイのが3つもそびえ立ってるけど。」
「これは大守護石だよ。加護をもたらしてくれる不思議な石さ。」
「加護って?」
「例えば戦士系の加護を受けた場合、剣を振ったり、防御したりした時の上達具合って言ったらいいのかな、そういうのがメキメキと上達しやすくなるんだ。何故か飲み込みが良くなるっていうか。」
「へえ。それは凄い話だな。」
「だが注意しなきゃいけないのは、2つ以上の加護は同時には受けられないってことなんだ。」
「そう上手い話はないってわけか。」



「この石には魔術師の絵が描いてあるよ。」
「それは魔術師の石碑さ。加護を受けると、魔術関連のスキル上達が早くなるだろうな。」



「じゃあ、これにしようっと。」

俺が石碑に手を触れると、俄かに石碑が光りだし、俺の身にも変化が・・・

「え・・ええっと・・何か起こった?」
「いんや。見た感じはなーんも。」
「本当に加護ってあるのかなあ?」
「まあ言い伝えみたいなもんだからな。信じていればいいことあるさ。」



「おっと随分道草食っちまったな。朝までにリバーウッドに着いておきたいし、また走るぜ。」
「おいおい、いちいち立ち止まったのはレイロフだろーがよー。」



途中、狼の群れに襲われたりもしたが、レイロフの剣と俺の魔法で難なく蹴散らした。
剣士と魔法使いの組み合わせって結構イケルかもなー。
俺一人で旅することになったら、傭兵でも雇うとすっか。



「着いたぜ、カイト!ここがリバーウッドだ。」
「やっと着いたあ。」
「幸い、まだ帝国の手の者は来てないらしい。つーか、ドラゴンの件も誰も知らないようだな。」
「とりあえず、レイロフのお姉さんの所に行こう!」
PR
【2012/08/29 21:04 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
009 解放9


「カイト、腰を落とせ!気配を殺すんだ!」
「気配を殺すってどうやんの?」
「しっ!黙って、じっとしてろ。」

レイロフが前方の様子を注意深く監視している。



俺も気になって、目を凝らしてみた。

「ク・・・マ?」
「そうだ、熊だよ。ある意味、帝国兵より怖え。」

俺も野生の熊の恐ろしさは散々聞かされている。
巡回中の兵士が襲われて命を落としただの、熊が冬眠に入る前の時期には山に入るなだの。

「あれって・・寝てる?」
「ああ、そうだな。このまま眠っててくれると助かるんだが。なるべく静かに移動しよう。刺激するなよ。」
「言われるまでもないよ。」



そうっと、そうっと・・・。

熊を起こさないよう、俺達は息を殺しながら、静かに脇を通り過ぎた。



「レイロフ!前方が明るいぞ。」
「やったな、カイト。外に出られそうだ。」



どうやらヘルゲンを上手く抜けられたようだ。
さて、外はどうなってるかな?ヘルゲンにまだドラゴンはいるんだろうか?



ウオオオオオン!

俺とレイロフが外に出た時、丁度ドラゴンが頭上をあさっての方角に飛び去っていくところだった。
慌てて岩陰に隠れたが、幸い俺達の存在には気付かれなかったようだ。

「とにかくヘルゲンから一刻も早く離れた方がいい。いずれ帝国軍がウヨウヨと集まってくるだろうからな。」
そう言って、レイロフは走り出した。
【2012/08/29 00:32 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
008 解放8



「よいしょっと。おしっ、橋が下りたぞ。」
「・・ずっと不思議に思ってたんだけど、レイロフってやたらとここに詳しいよね?」
「ストームクロークも諜報には長けているんでね。特に俺は帝国軍の主要な砦の構造なら、大体頭に入ってる。」
「へえ、すごいな。」
「戦時でなきゃ、大して自慢にもならない話さ。」



ドガーン!ガラガラガラ!

物凄い轟音がしたかと思うと、今渡ってきたばかりの橋が落盤によって落ちるのが見えた。
「レイロフっ!橋が落ちた!」
「落ち着けって。俺らにとってはもう用なしなんだ。」
「でも後続の仲間達は?」
「他の道を探すだろうさ。さあ、こんな所で立ち止まっていても、埒が明かないぜ。今は俺達が生きて脱出することだけを考えるんだ。」



いつしか俺達は天然の洞窟を歩いていた。
「川だ!川が流れている!」
「初めて見たわけじゃないだろう?いちいち感動するなって。」




大蜘蛛に取り囲まれたとき、さっき覚えたばかりの『雷撃』の呪文を使ってみた。
俺の手のひらが光ったかと思うと、数条の閃光が蜘蛛共に絡みつき、次々と悶絶させていく。
金縛りにあったかのように動けなくなった蜘蛛をレイロフが始末して回った。

「その呪文、結構使えるじゃねえか!意外と頼りになるなあ、お前。」
「いやあ、さっきの魔法使いの死体から出てきた本を読んで、使ってみたんだけど、上手くいって良かったよ。」
「カイト・・それマジ?実戦で初見の魔法をいきなり使ったのかよ。」
「ま・・まあ、そうなるかな。ごめん、危ない賭けだったかな?」
「いや、責めてるんじゃなくて。お前才能あるよ!破壊術も大学で学んだのか?」
「破壊術は護身の為に、先輩からイロハを教えてもらったんだ。それだけだよ。」
「へえ。真面目に取り組めば、こっち方面でもイイ線行くと思うぜ。考えてみなよ。」
「う・・うん・・。」
【2012/08/27 23:24 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
007 解放7


「ちきしょお、落盤で道が塞がってる。回り道しなきゃ駄目だな。」
「地上にいるドラゴンが派手に暴れてるみたいだね。咆哮が地下にも響いてるよ。落盤はそれが原因かな。」
「おかげで帝国兵が待機してる部屋を通り抜ける羽目になるぞ、覚悟してくれよ。」



「ストームクロークめ。こんな所まで乗り込んでくるとは良い度胸だ。」

「生きる為には仕方ないんすよ。」と言って、通してくれるはずもない。
当初の打ち合わせ通り、レイロフが剣で斬り結び、俺が隙を見て火炎を放つという戦い方でなんとか帝国兵を蹴散らしていった。




「お、物資の蓄えが豊富じゃん。ちょっと補給させてもらおう。」



「もう満足か?」
「いや、もう少し。」
有用な物を持てるだけポケットに捻じ込んでいる俺を見て、レイロフは呆れた様子だった。



しばらく進むと、尋問部屋にぶち当たった。
居合わせた尋問官をレイロフが一撃で昏倒させ、懐から鍵を取り出すと、囚われていた仲間を救出して回った。
「ありがとう。」
「助かったわ。」



「おい、魔法使いらしき奴が死んでるぞ。」
「放っておけよ。」
「いや、それこそ何か有用な物を持ってるかもしれん。カイト、ロックピックを渡すから錠を外して、持ち物を調べてくれ。俺は捕虜達の手当てをしてくる。」



「本当、人生が180度変わったなあ。まさか錠前外しに挑戦することになるなんて・・。」と、ぶつくさ言いながら、イジイジしていると、カチャッと小気味良い金属音が・・外れた?

あっさりと扉が開いた。
俺って、もしかしてこっち方面の才能あるのかな?

魔法使いの懐からは幾許かの金貨と魔術書が出てきた。
ふむふむ、これは使えるな。
時間もないので、簡単に目を走らせただけだったが、破壊呪文のレパートリーが増えそうだ。



レイロフの手当てがまだ続いているので、部屋の探索を続けてみた。
するとテーブルの上に置いてある一冊の本に目が留まった。

『ドラゴンボーンの書』・・?



ドラゴンボーンと言えば、確か帝国皇帝の直系の血筋のことだったと思うけど・・。
オブリビオンクライシスの折に、血筋は途絶えてしまったとも聞いている。



へえ、スカイリムじゃ『ドラゴンボーン』の解釈はちょっと違うんだ。
竜語を解するねえ・・・ドラゴンの存在そのものが御伽噺みたいだけど、でもさっき目撃したばっかだし、声は今でも聞こえてるし。この本に書いてあることは空想って訳でもないのかな。



「おおい!いつまでボサっとしてるんだ。付いてこないと置いてくぞ。」

いつのまにか本の世界に夢中になっていたらしい。
気が付けば、レイロフは手当てした仲間と共に先へ進もうとしてた。



「何か面白い物でも見つかったか?」
「あ、うん。本がね。」
「本?」
「この地方の伝説とか民話だとかに興味があるから見過ごせなくて。」
「研究者なんだってな?レイロフから聞いたぜ。」
「まあね。こっちに来た早々バタバタで、まだ何も研究らしいことしてないけど。」



「がんばれよ。ここを無事脱出できた暁には協力を惜しまないぜ。」
「ありがとう。」

その約束が果たされることはなかった。
この後、繰り返された幾度とない戦闘の中、彼は無残にも命を散らしたのだった。
【2012/08/26 20:30 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
006 解放6


「ガンジャール!しっかりしろ、ガンジャール!死ぬなあああ!!」

レイロフの仲間がまた一人、息を引き取った。

「カイト・・ガンジャールの鎧を着てくれ。」
「え?そんな訳には・・。」
「そのボロ布で洞窟を抜けるつもりか?ひとたまりも無いぞ。」
「しかし死者の冒涜にはならないか。」
「ノルドの・・ストームクロークの考え方は違う。友の為にも利用するべきものはするんだ。その方が、ガンジャールも喜んでくれるさ。」
「・・分かった。」



俺はレイロフに手の縄を切ってもらい、ガンジャールから鎧を剥ぎ取った。
幸いなことにサイズはぴったりだった。

「よし、似合ってるぞ。斧を取れ。素振りをしといた方がいい。」
「いや、俺は魔法を使うんだ。武器はいいや。」



「へえ、魔法か。」
「あれ?なんか冷めてる?」
「いや、別に。なんつーか、一般的にノルドは、鍛えた肉体で武器を操るのを好むからな。魔法は軟弱に見えるっていうか、使わないんだよ。」
「そういう思想が浸透してるもんなんだな。勉強になるよ。」
「まあ、自分の世話が見れるんなら、それで良いさ。」
「正直自信がないなあ。戦闘訓練とか、学校であんまりやってなかったし。」
「学校って、お前学生か?」
「一応、卒業して今は研究員として働いている。」
「へえ?専攻は?」
「民俗学だよ。今はスカイリムの伝説や民話、風習なんかを研究してる。でも学校の図書館じゃ限界があるからね。こうして、現地に情報や資料の収集に出向いたって訳。」



「そうか。じゃ、こんな所で死ぬわけにはいかねーな。敵と出会ったら、俺が真っ先に切り結ぶからよ、お前さんは支援してくれ。」
「了解。」



「この塔の地下通路は、ヘルゲンの郊外へと繋がっている。何が出てくるか分からんからな。油断だけはするんじゃねーぞ。」
「OK!」
「よし、行くぜ。」
【2012/08/25 22:08 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
<<前ページ | ホーム | 次ページ>>