ヘルゲンから脱出してから、レイロフと俺は走り続けた。


・・・とは言っても、俺はどこへ向かっているのかも理解してない。
「とりあえず、俺の姉貴の家に身を潜めないか?丁度近くのリバーウッドにあるんだ。」

「リバーウッド?」
「ああ、川沿いの小さな村だよ。夜通し進めば、明け方には着けるだろう。」

「どうせ行く当てもないし、助かるよ。」
「よっしゃ。それじゃ決まりだ。」
途中、突然レイロフが立ち止まったかと思うと、正面の山を指差して話し始めた。
「頂上に遺跡が見えるだろう?あれは古代ノルド人の墓地さ。はっ!毎日墓に見下ろされて暮らす姉貴たちの気が知れないね。」

「俺は、そんな説明を唐突に始めるあんたの方が理解できないけど。」
「それより、こっちの石は何だい?ドデカイのが3つもそびえ立ってるけど。」
「これは大守護石だよ。加護をもたらしてくれる不思議な石さ。」
「加護って?」
「例えば戦士系の加護を受けた場合、剣を振ったり、防御したりした時の上達具合って言ったらいいのかな、そういうのがメキメキと上達しやすくなるんだ。何故か飲み込みが良くなるっていうか。」

「へえ。それは凄い話だな。」

「だが注意しなきゃいけないのは、2つ以上の加護は同時には受けられないってことなんだ。」
「そう上手い話はないってわけか。」
「この石には魔術師の絵が描いてあるよ。」

「それは魔術師の石碑さ。加護を受けると、魔術関連のスキル上達が早くなるだろうな。」
「じゃあ、これにしようっと。」
俺が石碑に手を触れると、俄かに石碑が光りだし、俺の身にも変化が・・・
「え・・ええっと・・何か起こった?」

「いんや。見た感じはなーんも。」
「本当に加護ってあるのかなあ?」
「まあ言い伝えみたいなもんだからな。信じていればいいことあるさ。」
「おっと随分道草食っちまったな。朝までにリバーウッドに着いておきたいし、また走るぜ。」

「おいおい、いちいち立ち止まったのはレイロフだろーがよー。」
途中、狼の群れに襲われたりもしたが、レイロフの剣と俺の魔法で難なく蹴散らした。

剣士と魔法使いの組み合わせって結構イケルかもなー。
俺一人で旅することになったら、傭兵でも雇うとすっか。
「着いたぜ、カイト!ここがリバーウッドだ。」

「やっと着いたあ。」

「幸い、まだ帝国の手の者は来てないらしい。つーか、ドラゴンの件も誰も知らないようだな。」
「とりあえず、レイロフのお姉さんの所に行こう!」

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