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【2025/03/11 03:48 】 |
005 解放5


しばらく待ったが、レイロフ達が続いてくる気配がない。
(くそっ。何やってんだ。)

そのうち、ドラゴンが再来したようで、外の様子が騒がしくなった。
俺もこのままだとマズイ。

やむなく、後の再会を願って、俺は脱出を試みることにした。



「あっ、お前。」
「あんたは確かリストの・・。」

宿屋を出た途端、俺は一人の帝国兵と出会った。

「無事だったか。あ、待て、逃げなくても良い。・・逃がしてやるよ。」
「なんだよ、そりゃ。さっきは殺そうとしてた癖に。」
「しゃーねーだろ。上司の命令だったんだよ。でも今はこうやって助けようとしてる。おあいこさ。」
「どーだか。信じられないね。」
「じゃー別にいいさ。ただ生き延びたいんなら、俺に付いて来い。」

結局不服はあったが、ハドバルという帝国兵に付いて行くことにした。
土地勘もない俺一人より、誰かと一緒の方が少しでも生き延びる確率は高くなるはずだ。



帝国軍はドラゴンの相手やら、市民の脱出の手助けやらで大わらわだった。
魔道士部隊が次々と火炎球を放っているが、一向に効いている風には見えない。



たまに地上に下りてきても、戦士達の剣は通じないようだ。固い鱗に阻まれ、剣の刃が中まで通らないらしい。じわりじわりと皆に絶望感が広がっていくのが見て取れた。

(やはり、今は逃げるしかない。)



ハドバルと逃亡を続けていると、その先でレイロフと鉢合わせした。
生きてたか~、良かった。

「よぉ、ハドバルじゃねえか。」
「レイロフ・・・この裏切り者め!」
「そう熱くなるなって。それに裏切ったのはそっちの方だろう?」
「俺がいつ何を裏切った?」
「タロスへの愛だよ。お前はノルドの誇りを捨てたんだ!」

おーおー、何やら熱いトークを交わしてますな~。知り合いか?

「二人とも!今は罵り合ってる場合じゃないだろう?さっさと脱出しよーぜ。」
「こいつと一緒なんて、やだね。」
「それはこっちのセリフだ。」
「カイト!お前はどっちと一緒に行くんだ?」



そりゃ、今選べと言われたら、レイロフになるよ。
ハドバルにはさっき間接的に殺されそうになった訳だし。
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【2012/08/25 20:49 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
004 解放4


俺が飛び込んだ塔の中には、あの猿轡をかまされていた人もいた。

「おう、レイロフ。お前も無事だったか。」
「首長、よくぞご無事で。あなたが生きていて下されば、ストームクロークは健在です。」
「ストームクロークって・・・そうかあんたたちは、帝国軍に反抗して戦っている人たちなんだ。」

俺の呟きを耳にして、二人はようやく俺の存在を思い出したかのように、こちらを見た。
「彼も連れてきたのか?レイロフ。」
「すみません・・あの状況で放っておけなくて。」
「いや、それは構わない。君の名は・・・確かカイトと言ったか?」
「そうです。よく覚えてましたね。さっき一回名乗っただけなのに。」
「些か、物覚えは良い方でね。いきなり大変だったな。」
「びっくりしましたよ、他国に来たらいきなり殺されかかるんだから。」
「どうかこのスカイリムを嫌いにならないで欲しい。良い国なんだ、本当は・・・。」

そう語る首長は、遠い目をしていた。
過去の想い出でも懐かしんでいるんだろうか。

「首長!今はまだゆっくりおしゃべりしている暇はありません。早くこのヘルゲンから脱出しないと。」
「そうだったな。まだまだこんな所で死ぬわけにはいかん。」
「カイト!俺と一緒に塔の上を目指すんだ。」

そう言って、レイロフは先に階段を上がっていった。



「殿は、私に任せておけ。」
そう言って、ウルフリックは扉の所に残った。やるじゃん、大将が自ら殿を買って出るなんて。



だが俺達の知らない間に、事態はもっと悪化していた。
ヘルゲンを襲ったドラゴンが、今度は俺達のいる塔に目を付けたのだ。



「うわあ!」
先を進んでいたレイロフが階段から転げ落ちてきた。慌てて俺は彼を助け起こした。
「すまねえ。」

階段の先にはぽっかりと穴が開いていた。
そこから覘き見えるのは・・・ドラゴン



「くそっ!この塔に取り付いてやがる!」



ま、まさか・・・そんな、ヤメロヤメロヤメロヤメロ!ヤメテー!



うわあああああああーーーーー!
熱い熱い熱い熱ィィィィ!!!!
ぎゃああああーーーーーーー!!


塔の2階は、ドラゴンから吐き出された紅蓮の炎によって、瞬く間に阿鼻叫喚が渦巻いた。

「そ、そんな。2階には仲間がたくさん、いたのに・・・。」
起き上がったレイロフが呆然と呟く。



塔の中から聞こえていた悲鳴や絶叫が、しばらくして止んだ。
それの意味するところは・・一つだ。

ドラゴンは満足したように飛び去った。

「ようやく、この塔から離れたぞ。」
「・・・カイト。あの大穴から隣の宿屋へ飛び移れ。」
「え?」
「ぼさっとすんな。ドラゴンの去った今がチャンスだ。下には帝国軍がうようよいやがるし、突破口はそこしかねえ!」
「わ、わかった。でもあんたはどうする?」
「後から行くさ。」



無我夢中で塔から飛び移った宿屋は、無論のこと、誰もいなかった。
【2012/08/25 17:38 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
003 解放3


「祭司、この者達に最後の祈りを。」
「・・分かりました。八大神はあなたがたを優しく見守っています。・・・」



「あーあー!タロスの愛にかけて。さっさと処刑を始めろって。」

祭司が祈りを始めた途端、俺と同様に列に並んでいた男が不満げに前に進み出た。

タロスと言えば、第2期の末にタムリエルを統一した帝国の皇帝が神格化されたものだったはず。
先の白金協定により、帝国内では信仰が禁じられている。
皇帝がスカイリム出身だったこともあって、この地ではタロス信仰を禁じた帝国に不満を持つものが少なからずいると聞く。それどころか、内乱の火種さえ燻っているとも。



「さっさと死にたいってわけ?・・・なら喜んで。」

帝国の女隊長は、進み出た男を足蹴にして、断頭台へと強引に寝かしつけた。



「おい、嘘だろ・・・マジかよ。」

俺の目の前で、あっさりと人が死んだ。
その衝撃に思考がまだ追いついてこない。

「次、そこのブレトン!」



え?え?
俺は帝国兵に両脇をかけられ、ついさっき男が首を切り落とされた断頭台まで連れてこられた。



視界が傾いた。
上半身を先の男のように、倒されたのだ。

今わの際になって、冷静に分析している自分に驚く。
俺はまだ他人事のように感じているのか。



首切り人が斧を振り上げ始めた。
あの斧が、あと半回転もすれば俺の首と胴は離れ離れになる。

ああ、研究漬けの人生だったな・・。
恋人でも作っときゃ良かった。

ギャ~~~~~~ス

突如、血も凍りつくような咆哮が響き渡った。

「あれは何だ!」
「でかいぞ!」

周囲の者達も咆哮の主に気を取られて、進行中の処刑など忘れているようだ。




おいおい、処刑人さん。
あんたは何故、そんなに職務に忠実なんだ!?
斧を振り上げるのなんか止めて、後ろを見ろって!後ろ!



塔の上に止まったドラゴンが再び咆哮したかと思うと、処刑人を初め、大勢の人間が吹き飛ばされた。
いみじくも地に伏せる格好になっていた俺には被害は無い。

今のは・・衝撃波!?

次の咆哮が、今度は炎を伴っていたのを幾人かが認識するのとほぼ同時に、ヘルゲンは地獄絵図と化した。



「おい、兄ちゃん。逃げろ!今がチャンスだ。神様だって、そう何度も機会はくれないと思うぜ。」

周りを見渡すと、先程気さくに話しかけてきたノルドの男が手招きをしている。
俺は必死に彼の後を追った。



「こっちだ、兄ちゃん。ここに入れ!」

男は塔の中へと入っていく。
俺も後に続いた。
【2012/08/25 11:03 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
002 解放2
「イテテテ。」
「あん?どうした兄ちゃん。」
「なんだか頭がズキズキするんです。」
「大方、頭を殴られて気絶してたんだろうよ。何も覚えちゃいねえのか?」
「ええと・・・確かスカイリムの文化に直に触れたくて、研究室を飛び出して、国境を越えたところでいきなり兵士に取り囲まれて・・・あれ?そっから先は良く覚えてないなあ。」
「今は紛争がスカイリムのあちこちで起きてて、特に兵士達は神経尖らせているからなあ。不審人物がいたら片っ端から拘束しているようだぜ。」
「不審人物って俺がですか?」
「何か変なことしてなかったか?」
「変なことって・・ただ俺はこの地方特有の建築方法に感動して、砦をしげしげと・・・」
「眺めてたってのか!?国境付近で!?・・・そりゃ、傍から見たら怪しすぎるぜ。」



「そこの二人、いつまでしゃべってる!さっさと降りろ!」

俺は兵士に命ぜられるままに、馬車を降りた。

「ここは?」
「ヘルゲンだ。ツイてないな。スカイリム最初で最後の町になったな。」
「え?それってどういう・・・」

「静かにしろ!」




「おい、ブレトン。出身と名は?」
「カイトです。シロディールから来ました。」
「隊長・・・こいつはリストに載っていません。」
「リストなぞ、関係ない。死んでもらうだけよ。」
「え?」
「ついてないな・・・お前。諦めてくれ。」
「ええ!?」



俺は改めて周囲を見回した。
ここって、もしかして処刑場なのか!



「ウルフリック。ここではお前を『英雄』と呼ぶ者もいる。だが私は、声の力で王を殺し、とって代わろうとする者がそう呼ばれるのを断じて認めん!」
「ムゴゴゴ!」
「ふん。お前の反論を聞いてやる訳にもいかんな。猿轡を外すと、何を仕出かすか分かったもんじゃない。」
【2012/08/24 21:53 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
001 解放1


「よぉ!ようやく目が覚めたようだな。」

気が付いた時、俺は馬車の上で揺られていた。
奇妙なことは、手を縛られているということと、周りには同様の男達がいるということだった。



「おい、お前一体何者だ?手だけじゃなくて、口まで塞がれてるなんてよお。さては余程の大物か!?」
「控えろ、馬泥棒。お前が気安く声をかけているのは、ウルフリック・ストームクロークだぞ。」
「何だって!ウインドヘルムの首長にして、反乱軍のリーダーの!?」
「ああ、そうだ。」

後部座席に座っている二人のうち、口にまで猿轡を噛まされている方は、どうやら大物のようだ。
確かスカイリム全土で、帝国軍とストームクロークの衝突が絶えないと聞いている。

【2012/08/23 23:51 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
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