装備を新調するのに、がっぽがっぽ儲ける必要が出た拙僧は、金を唸るほど持ってそうな『東帝都社』に仕事の口を求めるべく、ウインドヘルムへとやって来た。
しかし、スカイリム全土の貿易で潤っているはずの本社は荒れ果てた様子。一抹の不安を感じつつ、社長のオルサスに面会をして事情を聞いた。
「海賊のせいだよ。奴らが商売の邪魔をして、被害が甚大なんだ。」
「首長には話を持ちかけてみたのか?」
「あいつらは内戦にかかりきりで、我々の陳情に見向きもしない。」
主義主張の闘争は御立派だが、泣かされるのはこういった企業や市民達。
国が滅ぶのは外的要因よりも内的要因。
その辺のことをお偉いさんたちは分かっているのだろうか?
「傭兵を雇って、海賊達の根拠地を叩こうにも、それも分からない。八方塞がりだ。」
「何も手はないのか?」
「手がかりならなくもない。怪しいもんだが。実はライバル社の『シャッター・シールド家』の船だけは、安全に航海ができるようなんだ。胡散臭いだろ?」
「いかにも海賊と取引をしてそうだな。」
「だろ?もし可能なら・・・その・・・やつらの裏帳簿を入手できないか?・・・手段は任せるが。」
『シャッターシールド家』と『東帝都社』は、実はお隣さんだったりする。
近隣付き合いは大事にしないとねっ・・・と。
裏帳簿には、ばっちり裏取引のことが書かれていた。
どうやら海賊に金を渡して、自分達の船の安全を保障してもらっているらしい。
「海賊の交渉人と接触して、上手く奴らのアジトを聞き出してくれ。」
オルサスに調査報告したら、矢継ぎ早に次の依頼を出された。
帳簿によれば、ドーンスターの酒場で交渉役と話ができるらしい。
「あーん?なんだよ!こっちはいい気分で酒を飲んでるってのによ~!」
馬鹿丸出しの柄の悪い男が、交渉人だった。同じくおつむの弱そうな兄ちゃんと、周囲に迷惑そうな視線を送られながら、盛大に飲み食いしている。
「ブラッドホーカーという海賊を知らないか?」
「ギャハハハ!知ってるも何も、船団の一隻の船長を任されてるんだぜ。」
「拙僧をその船に乗せてもらえないか?」
「ああん?おめえはどうにも胡散臭えなあ。帰りな。」
「どうやったら乗れるんだ?コレで話さなきゃならんか?」と言いつつ、握りしめた拳を見せた。
「ハッハー。これだから馬鹿の相手はタマらねえ。すぐに黙らせてやるから覚悟しな!」
「オラァ!」
「オラオラオラァ!!!」
船長をボコにして、敵のアジトと強力な後ろ盾がいることを聞き出した拙僧は、一路ウインドヘルムへと戻った。
『東帝都社』では、社長のオルサスが傭兵団長のアデレイサと共に待っていた。
「何?魔闘士のハルデインが、やつらの背後にいるんだって!?」
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