「早く乗りな。東帝都社に雇われた傭兵は皆揃っている。お前さんで最後だ。」
拙僧を含めた傭兵達は、東帝都社の商売を妨害する海賊ブラックホーカーの殲滅に乗り出すことになった。
海賊のアジトへの航海中、拙僧は討伐隊の指揮をとるアデレイサに魔闘士ハルディンのことを聞いてみた。
「とても手強い奴よ。とにかく執拗な性格なの。見定めた敵を徹底的に叩かないと気が済まないのね。しかも強力な攻撃魔法を使いこなすものだから、正直手を焼くことになりそうね。東帝都社もとんだ奴に狙われたものだわ。」
そうこうするうちに、海賊のアジト:ジャフェット・フォリーに到着した。
だが傭兵達は皆、船から下りようとしない。
「海賊達の船は、ハルディンの魔法で巧妙に隠されてる。迂闊に出て行っては我々がやられるだけよ。まずは勇敢な斥候が砦に侵入して、ハルディンを暗殺するべきね。」
なるほどな。・・・まあ、百歩譲ったら分かる話だ、隊長さん。
で、何故それを拙僧の前に来て言う?
「あなたの有能さはオルサス社長から聞いているわ。今回も見事期待に応えてくれるでしょう?」
クソォ!どうして拙僧の周りには一癖も二癖もある女しかいないんだろう?
またアゴで上手いこと使われて、貧乏くじを引かされた。
・・・後で絶対ヒーヒー言わせてやるぅ。しくしく。。
さすがに魔闘士は手強くて、苦労させられたけど、所詮は生身の人間。すでに竜ともタイマンで戦えるようになった拙僧の敵ではなかった。
本当に拙僧があせったのは、砦を出た後。
ドガーン!
と、砦が砲撃されてる・・・しかも大砲撃ってるのって拙僧が乗ってた船じゃん!
砲弾が嵐のように飛びかう中、何度もソブンガルドの風景が見えそうになりつつも、必死になって船へと戻ったら、女隊長にこともなげに言われた。
「無事で何よりね

あなたが敵を内部で撹乱しているうちに、外からも攻撃を開始したの。

砲弾があなたに当たらなくて良かったわ

」
「・・・。お、おお、お、鬼!

」
「ふふふ。誉め言葉をありがとう。」
アデレイサの両面作戦は功を奏し、見事海賊団を壊滅させた。
「良くやってくれた!どうだろう?君ほど優秀な傭兵は見たことがない。アデレイサと共に、今後も私に仕えてはもらえないだろうか?」
「御免こうむる!」
金は欲しいが、命あっての物種。
自分の兵を駒としか見てないような女と組めるかってんだ。
一発ヤったら、すぐに縁を切る!

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