エニスに聞いて、ホワイトランのイソルダに話を聞きに来た。
「指輪をあげたら急にいなくなったんだもの。心配したわよ。」
「指輪?」

「婚約者に渡すって言ってたでしょ。あんなにロマンチックな話を聞いたのは生まれて初めてよ。」
大抵のことは覚悟していたが、こ、婚約者ですか!
「ウィッチミスト・グローブの下で彼女と出会ったって言ってたわね。運命的な恋に落ちたって。」

「そ、そんなこと言ってた?」

「ええ。だからいい話を聞かせてもらったお礼と祝儀を兼ねて、指輪をプレゼントしたのよ。」
「か、彼女に会ってくる!」
うっひょー!美人だと良いなあ。

でへ、でへへ

一路、ウィッチミスト・グローブへ!
ま、まさか。

お願いだ。誰か・・誰か、嘘だと言ってくれ!
「ダーリン、戻ッテキテクレタノネー!」
ヤダヤダヤダヤダ!
婚約者というのは、ハグレイブンの魔女だった。
「ゆっ、指輪を返せ!」

「モシカシテ、心変ワリシタノ?・・・ソンナノ、アタシ許サナイ!」
寄るな!潤んだ乙女の瞳で見つめるな!うぎゃー!!
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その後、何をどうしたのか詳細は、拙僧もさっぱり分からないが、
気がついたときには指輪を片手に、ホワイトランに向けて無我夢中で全力疾走していた。
「あら?運命の彼女とは再会できた?」

「ああ、一瞬死線を彷徨った。」

「え?」
「いや、手違いでな。婚約は破棄になったんだ。あんたには指輪を返しておこうと思って。」

「そうだったの。それはご愁傷様。だったら式場もキャンセルしなきゃね。」

「え?拙僧ってばそんなモンも手配したの?」
「何言ってるの?あなたが言ったことでしょう。『モルブンスカーに親戚一同、知人縁者を集めて、盛大な結婚式を挙げるんだ!』って。」

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