「ノコノコとよくもまあ、面を出せたもんだな!」

「ここでもか・・。」

「おいっ!人の話を聞いてんのか!?」

「すまない。良かったら聞かせてくれ。何も覚えてないんだ。」
「ふざけんなっ!俺の俺の大事な彼女にあんなことをしておいて!」

「え?」
ディベラの女神官の助言通り、拙僧はロリクステッドにやって来た。
すると、拙僧の顔を見るなり、エニスという男が血相変えて飛んできたのだった。
拙僧、もしかしてこの人の彼女とヤッちまった・・・のか??
「ヤギのグレダだよ。」
「うっ・・・そーか、拙僧とうとうヤギにまで手を出したのか・・。」
「何、ワケ分からんことを言ってるんだ?お前はグレダを盗み出して、巨人に売っぱらいやがったんだ!」
「あーそっちか。拙僧もまだそこまで堕ちちゃいなかったよーだな。良かった。」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ。ともかく、すぐにグレダを取り戻して来い!」
エニスに教えてもらった通りに進むと、巨人戯れるヤギの姿が見えた。

元来、巨人は穏健な種族である。
風貌と怪力は脅威だが、こちらから悪意を持って近づかない限り、危害はない。
しかし、人懐っこい、もとい巨人懐っこいヤギだな~。
巨人と交渉して、手違いであったことを詫び、グレダを返してもらった。
「よし。村へ帰ろう。」
このヤギ、スゲエよ。
拙僧が懸命に馬を飛ばしてるのに、いとも簡単に付いてきやがる。

しかも初対面(あ、2回目か)の拙僧にもよく懐いてるようだ。
「昨夜のお前の様子?そんなこと聞いてどうすんだ?」
「すまんが何も覚えてないんだ。サムっていう連れがいたはずなんだが、何か分からないか?」

「お前は一人だったけどなあ。しかも酩酊状態みたいだったから、言ってることも良く分からなかったし。・・・あ、ただ『イソルダに借りを返さなきゃ!』とか言ってたぞ。」
「『イソルダに借り』ね。分かった。サンキュー!」
イソルダね・・。今度は何をやらかしたんだろなあ。

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