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【2025/04/28 11:42 】 |
187 シシス万歳4


任務は完了した。後は脱出だけだ。
拙僧は、皇帝の部屋から直接外に出た。

空がいつしか明るくなっていた。
まだ船内は静かなままだ。

ここからさっさと逃げよう。



あ、ひょいっと。



陸へ戻ると、シャドウメアが蟹と戯れていた。
拙僧が大仕事をしてたというのに、のんきな奴・・。



拙僧は早速、ホワイトランに戻り、アマウンドに任務完了を告げた。
「よくやってくれた!さすがだな。すぐに報酬を支払おう。大丈夫、私はあんた達を裏切るほど、馬鹿じゃない。」
「で、報酬はどこに?」
「私と最初にあったヴォルンルードの部屋の瓶の中に入れてある。」
「そうか・・・それだけ分かれば、十分だ。」



ぎゃあ!



「すまんな。身内を裏切るような奴を、拙僧は元々信用しておらん。」



拙僧はアマウンドに教えられた通りに、ヴォルンルードへ行き、報酬を回収した。



さあて、これから新しいアジトになるドーンスターの聖域にやってきたぞ。
先行したナジル達はもう着いているはずだが。



「おお、長よ。よく帰った。もう噂で聞こえてきたぜ。皇帝が暗殺されたってな。」
「ああ、なんとかやり遂げたよ。」
「これで闇の一党の威信はまた光り輝くことだろう。」
「・・・これから地道にやっていくさ。」

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【2012/07/31 22:27 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
186 シシス万歳3


「そろそろ来る頃だと思っていたよ。マロ指揮官は自分の無能ぶりを露見させてしまったな。」

部屋に入ると、皇帝は予め分かっていたかのように拙僧に話しかけてきた。



「拙僧が誰だか分かっているのか?」
「闇の一党ぢゃろう。」
「では何をしに来たのかも分かっているのだな?」
「暗殺ぢゃな。」
「受け入れているのか?」
「今日死ぬことは未来視の予言で聞かされていた。運命・・と思っておる。」



「ただ一つ、願いがある。老人の最期の頼みと思って受け入れてくれんか?」
「何だ?」
「どいつかは知らんが、この老いぼれの暗殺を依頼した者を殺してもらえんか?」
「・・・約束はしない。」
「はっはっは。その答えで十分。」



では、お覚悟!



皇帝タイタス・ミード2世は死んだ。
死に際して毅然とした姿勢を貫いていたのは、流石だった。
【2012/07/31 21:56 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
185 シシス万歳2


夜陰に紛れて侵入することにした。



泳いで接近するが、誰も拙僧に気付いた様子はない。
船は静かなままだ。



船内への侵入に成功した。
さて、出口を塞ぐようにして、いつまでも立ち話を続ける奴等が邪魔だな。



ほらよ!



とりゃ!



ラッキー!2人組のうち1人は船長のようだ。
こいつの持ってるマスターキーを使えば、どの部屋にも出入りが自由になるな。
秘密裏に皇帝の部屋に辿りつくのもそう難しくはなさそうだ。
【2012/07/31 21:28 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
184 シシス万歳1


拙僧は駆けた。最速最強の馬シャドウメアに全力を出させた。
向かうはホワイトラン。
夜母曰く、皇帝暗殺の依頼者アマウンドがバナード・メアに長逗留しているらしい。



「何を暗い顔をしてるんだ?まだ依頼は終わってないだろう?」
「おお、あんたか。しかし・・闇の一党のアジトが急襲されたと聞いた。一党は壊滅だと。」
「一党は終わっちゃいないさ。拙僧がいる限りな。」
「では、あんたが依頼を継続してくれるんだな。」
「ああ、しかし本物の皇帝がどこにいるか知りたい。」
「ソリチュード港に行くといい。北の入り江にカタリーナ号が停泊している。」
「あと、マロ指揮官はどこだ?」
「やはりその質問が来るとは思っていたよ。彼はソリチュード港で出港の刻限まで警備に就いている。」
「分かった。彼には礼をせねばな。」



「お、お前・・・何故生きている!?」
「何も死んではいないのさ。拙僧も闇の一党もな。そして受けた報いの礼をしに来たぜ。」
「くそっ。俺自らの手で葬ってやる!」



個人の武で敵うわけねーだろ。
さて、次は皇帝だ。
【2012/07/31 21:12 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
183 デス・インカーネイト3
(見つけたぞ!ここにあった。)
(ええ。でもこの中に本当に彼いるの?)
(勘だ。)
(勘?)
(インベリアルの直感を信じろって!おい、もっと本気で引っ張れよ。)
(十分、本気よ。こういう肉体労働系には向いてないの!)

声が聞こえる。。
誰だろう?

・・っていうかここはどこだ?真っ暗で何も見えない。

(あ、やっと開いた!)
(おい、エダジマ!しっかりしろ、エダジマ!)

誰かが拙僧に話しかけている。。



「もう!しゃきっとしなさいよ!しゃきっと!男でしょ?」
「おいおい、バベット。さっきまで生死の淵を彷徨ってた奴に言う台詞か?」
「ふ・・二人とも、拙僧を助けてくれたのか。」
「ようやく気付いたようね。感謝しなさいよ。池の底に沈んでいた棺を引っ張り上げて、あなたを外に出してあげたんだから。」
「ほとんど俺一人でやったんだろーが。」

拙僧の目の前でナジルとバベットが口喧嘩をしている。周囲の惨状さえなければ、数日前に戻ったようだ。いつもならこの辺でアストリッドが二人を制止するのだが・・。アストリッド!

「・・アストリッドに会わねば。」
「嘘!彼女生きてるの?」
「エダジマ、それは本当か?」
「・・・ああ、夜母に言われた。彼女は生きてる。彼女と話せってな。」
「で、どこに?」
「着いてきたら分かる。」

そう言って、拙僧は立ち上がった。
彼女の部屋へ向かう為に。



「アストリッド・・・」
「ひどい・・・。」
「こいつは・・重傷だ。」

拙僧が向かった先に、夜母の言うとおり、彼女はいた。
全身大火傷を負い、見るも無残な姿ながら・・。

「ああ・・・生きて・・・いたのね・・・・良かった。」
「無理をするな。話さなくていい。とにかく治療だ!」
「・・いいの。・・・それより・・・聞いて・・頂戴・。私には・・・時間がないの。・・それなのに・・・・話さ・・ないと・・・いけないことは・・・たくさん・・・嫌になるわね・・・。」

彼女はそれから語り始めた。自分が裏切者だったこと。マロ指揮官に取引を持ちかけられたこと。結果拙僧を売り、一党を放置してもらうことにしたこと。

「ごめん・・なさい。私・・どうかしてた・・。私さえ・・いれば・・何とか・・うまくやれる・・・と思ってたの・・。でも必要だったのは・・・あなた・・・聞こえし者・・・。」
「あんただって必要だ。長はあんただぜ。」
「私ね・・・黒き聖餐・・・を・・したのよ。聖餐・・は私・・自身。」
「アストリッド・・。」
「あなたはやっぱり・・・聞こえし者・・だったのね。ちゃんと・・私の元へ来て・・・くれた。・・・夜母が導いた・・・のね。」
「依頼は何だ?」
「殺して・・・欲しいの・・・私・・を。」
「馬鹿な!何を言ってる!!」

その時、背後で黙って聞いていたナジルとバレッドがつぶやいた。
「楽にしてやれよ、彼女を。」
「長の命令は絶対なのよ。」

拙僧は激高して振り向くと、二人とも唇を噛み締めて泣くのを堪えていた。
そうだ・・二人ともアストリッドとの付き合いは拙僧よりもはるかに長いのだ。



拙僧はアストリッドの胸に短剣を突き立てた。
彼女の最後の表情は、何故か満ち足りた表情だった。



「もう終わりかな・・一党も。」
「長がいなくなったんじゃな。」

「こちらに来なさい・・聞こえし者よ。」

「夜母が呼んでる。」

先程引っ張り出された夜母の棺の元へと戻った。



「まだ契約は続いていますよ。依頼は終わっていません。」
「しかし一党は壊滅状態だ。長は死に、仲間のほとんどが失われた。」
「でもあなたが生きています、聞こえし者よ。あなたは他の誰にも譲れない力を有している分、責任もまた課せられているのです。これからは、あなたが一党を率いるのです。」

それだけ言うと、夜母はまた沈黙した。



「おい、夜母は何て?」
「まだ依頼は続いているんだと。」
「しかし一党は無茶苦茶だ。依頼どころじゃ。」
「拙僧が何とかする。夜母に言われた。今後は拙僧が一党の長だ。」
「お前が!?・・・ああ、しかし妥当な選択だな。」
「私は構わないわよ。どうせ今更足を洗えないし、ナジルに従うよりマシだしね。」
「ふんっ!俺もお前に従うよりはマシだ。じゃ、エダジマ!今後はお前が俺達を率いてくれ。」
「ああ。さっそくだが、この聖域は放棄する。」
「そうだな。とりあえず、ドーンスターの聖域に引っ越すとすっか。おい、バレット!さっさと荷物を纏めろよ。」
「なんであんたがシキるのよ。言っておくけど、NO.1はエダジマに譲るとして、NO.2は私ですからね。」
「な、何でお前なんだよ!」
「当たり前じゃない。レディファーストの観点でも、年功序列の観点でも私に分があるわ。」
「くっ・・こういうのは能力で決めるもんだろーが。」
「あーら、あなたあたしに勝てるつもり?」
「当たり前だろ!」
「・・・もう、その辺にしておけ二人とも!」



新しい長となって、拙僧はナジルとバレットと共にファルクリースの聖域を出る。
ここにはアストリッドを初め、皆の墓がある。

入口の暗号はまた別の物に変えておいた。
これで誰もそう簡単には入れない。

死者はいつまでも、安らかに眠れることだろう。

【2012/07/28 22:46 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
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