スカイリム西方に位置する都市『マルカルス』にやってきた拙僧は、いきなり殺人の現場に遭遇した。

被害者は旅行者風の女性。犯人は鉱山で働く労働者。
しかも犯人は駆けつけた衛兵にあっという間に切り伏せられてしまった。
あれ?事情とか聞かないの?
確かに武器を持ったまま、逃走しようとしていた凶悪犯ではあるが、衛兵達の問答無用なやり口に驚いてしまった。
一瞬のうちにいろいろな事が起こって、ポカンとしていた拙僧だったが、
不意にポケットに何かが捻じ込まれて慌てて振り向いた。
「落としたよ。」
背後にいた男が言葉少なに去っていった。
ポケットの中を見てみると、『タロスの祠で待っている』と書かれたメモが入っていた。
「良く来てくれたな。正直誰にも頼めなくて困っていてね。」
指定された場所へ行くと、案の上、先ほど拙僧のポケットにメモを捻じ込んだ男が待っていた。
「何の話だ。」
「殺人事件だよ。」
「ああ、拙僧も目撃した。犯人は死んだじゃないか。」
「違う違う!黒幕がいるとは思わないのか?不可解な殺人事件はもう10数年もこの街で続けざまに起こっているんだ。」
「衛兵には言ったのか?」
「奴らは信用できない。奴らだけじゃない。この街の誰もが怪しすぎる。」
「拙僧なら良いのか?」
「あんたは旅人だ。この街の利害に何の関係もないだろう。」
彼、エルトリスは幼少の頃に、父親を殺されて以来、この街の事件について調査をずっと続けていると言う。
ただ最近結婚話が持ち上がり、所帯を持つ前に、一気に事件を解決したいそうな。
復讐と正義と保身の入り混じった依頼だったが、事情はどうあれ、拙僧は金払いが良ければ構わない。
しかも女性が目の前で殺されたのだ。許すまじ。

拙僧としてはそれだけでも、十分動機となり得た。
「この街では死人の話はしちゃいけない。自分にも不幸がやってくるんだ。」
早速被害女性が宿泊していた宿屋で聞き込みを開始した拙僧に、いきなり主人は警告してきた。

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