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【2024/04/19 20:44 】 |
宛城陥落

「敵軍事施設を徹底的に叩いておけ。」
 董清の下知は上庸全軍に伝わり、張繍軍の保有する兵舎及び鍛冶場に火矢の集中砲火が浴びせられた。瞬く間に兵舎は焼け落ち、鍛冶場は半壊した。これで張繍軍は残存する兵力だけで戦わなければならなくなった。
「あ~あ~。俺は殴りあいの方が好きなんだけどなあ。」ぶつぶつ言いながらも、大和は的確に敵の急所を見抜き、火矢を放たせている。この男、野放図な性格に見えて、意外と細心の注意を払うことができる。兵器部隊を率いさせると右に出る者はなく、特に攻城戦においては大いに力を発揮する事ができるのだ。


「新野軍は胡車児隊と張繍隊を混乱に追い込んでいるようです。出来る限り自軍の被害を抑えつつ、敵将を捕らえたいのでしょう。」
「確かに数こそ少ないが、優秀な人材が揃っているしな。」
 

一斉射撃!
宛城のある丘陵のはるか崖下より、思いもよらぬ火矢の来襲を受けた張繍軍は慌てふためいた。「動じるでない。落ち着け!」賈詡が鎮撫して回るが、兵の恐慌はなかなか止まない。賈詡にとって誤算だったのは、敵軍の兵器が予想以上の射程距離を誇っていたことだった。高低差のハンディを帳消しにしてしまう彼我の兵器との性能差は、こちらの兵士達を無力にしてしまっていた。単に矢を射掛けられるのを待つ的のように、バタバタと倒れていく。射撃7千近くいた兵士は見る見るうちに数を減らし、5千弱となっていた。
「一体、こんな時に張繍殿は何をしておられるのだ。」


 敵方からの反撃がないと悟った上庸軍は大胆にも宛城西側の空き地に布陣し、そこから火矢を降らせ始めた。火矢は城内の隅々にまで行き渡り、逃げ道はどこにもない。既に城の三方には火の手が上がっている。残存兵力はさらに半減し、2千余りとなった。
「そろそろ潮時ですかな。」
「よし、次の攻撃で守備兵を千未満まで減らしたら、上庸への帰途に着く。」
「曹操軍が未だ沈黙を保っているのが不気味ではあります。」
「そうだな。だが兵糧のこともある。戦場に長逗留する訳にもいくまい。」


宛陥落!


その報はあっと言う間に各地へと伝わった。


「いやあ、そんなつもりじゃなかったんだけどなあ・・。」
落とした本人は頭を掻いてぼやいていた。守兵2千弱だったが、あと一回ぐらいの攻撃には耐えるだろうと大和は旗下の井蘭隊に攻撃を命じた。すでに董清からは上庸への後退命令が出ていたので、退き際を襲撃されることのないよう威嚇程度のつもりだった。しかし井蘭隊の最後の斉射は物の見事に宛の止めを刺した。軍の主要施設を焼き払い、賈詡の鼓舞も空しく、火矢の集中砲火にさらされた宛の守兵達は抵抗の気力を失い、逃亡者が続出した。それどころか寝返る者までが現れ、城門が内からこじ開けられたのである。驚いたのは、城外にいる張繍隊である。ただでさえ、周信の計略に嵌り混乱しているところに、根拠地である宛城が降伏したとの虚報が伝わった。そうなると最早組織立った動きを取るのは不可能で、張繍隊はたちまち雲消霧散してしまった。張繍は供の者を連れて西へと逃れたが、上庸で捕らえられた。

 
 宛では城門が開くのを見た董清がすかさず突貫を命じ、上庸全軍が一斉に城内になだれ込んだ。守将の賈詡は捕らえられ、牢に入れられた。だが董清が行ったのはそこまでだ。
 彼としては当初の予定通り、趙雄にこの地の政務と捕虜の処遇については任せるつもりである。とりあえず三方が曹操の領地と隣接している為、趙雄の準備が整うまではこの地に兵を置いておこうと考えている。ただ戦いが終わった直後ということで、兵達の顔に疲れの色が見えることと、兵糧が減っている事が悩みの種だ。
 もし曹操軍と連戦になったら・・張繍軍との戦いで一兵も損なう事のなかった荊北連合である。二倍程度の兵力差なら然程問題なく蹴散らす事ができるだろう。曹操軍を一気に弱体化させ、逆侵攻の道も開けてくる。ただ長期戦となったり、一回の戦いは短くとも第2波、第3波と波状攻撃を仕掛けられると、兵糧の心許ない上庸軍としては厳しい戦いになるだろう。董清は上庸の蘭宝玉達に早急に輸送態勢を整えるよう命じると共に、趙雄にも早々の宛城入りの要請と新野からの支援体制を構築するよう打診した。
 無論、曹操軍に動きが無ければ、趙雄に全てを委ねるつもりだ。その場合、上庸に残した将だけで漢中を落とすようにも命じてある。


その頃、捕らえられていた張繍が魯蓮の説得に応じて、上庸軍の将に加わった。
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【2014/03/08 18:29 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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