「よいしょっと。おしっ、橋が下りたぞ。」
「・・ずっと不思議に思ってたんだけど、レイロフってやたらとここに詳しいよね?」
「ストームクロークも諜報には長けているんでね。特に俺は帝国軍の主要な砦の構造なら、大体頭に入ってる。」
「へえ、すごいな。」
「戦時でなきゃ、大して自慢にもならない話さ。」
ドガーン!ガラガラガラ!
物凄い轟音がしたかと思うと、今渡ってきたばかりの橋が落盤によって落ちるのが見えた。
「レイロフっ!橋が落ちた!」
「落ち着けって。俺らにとってはもう用なしなんだ。」
「でも後続の仲間達は?」
「他の道を探すだろうさ。さあ、こんな所で立ち止まっていても、埒が明かないぜ。今は俺達が生きて脱出することだけを考えるんだ。」
いつしか俺達は天然の洞窟を歩いていた。
「川だ!川が流れている!」

「初めて見たわけじゃないだろう?いちいち感動するなって。」
大蜘蛛に取り囲まれたとき、さっき覚えたばかりの『雷撃』の呪文を使ってみた。

俺の手のひらが光ったかと思うと、数条の閃光が蜘蛛共に絡みつき、次々と悶絶させていく。
金縛りにあったかのように動けなくなった蜘蛛をレイロフが始末して回った。
「その呪文、結構使えるじゃねえか!意外と頼りになるなあ、お前。」

「いやあ、さっきの魔法使いの死体から出てきた本を読んで、使ってみたんだけど、上手くいって良かったよ。」

「カイト・・それマジ?実戦で初見の魔法をいきなり使ったのかよ。」

「ま・・まあ、そうなるかな。ごめん、危ない賭けだったかな?」

「いや、責めてるんじゃなくて。お前才能あるよ!破壊術も大学で学んだのか?」

「破壊術は護身の為に、先輩からイロハを教えてもらったんだ。それだけだよ。」
「へえ。真面目に取り組めば、こっち方面でもイイ線行くと思うぜ。考えてみなよ。」

「う・・うん・・。」
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