「仔細は書状に書いてある。必ず長に渡してくれ。それから報酬は後ほど相談ということになるが、いろいろと準備に物入りだろうし、保証も兼ねてこの首飾りを渡そう。レクサス!」
「はっ。」
レクサスと呼ばれた帝国兵風の男が、拙僧の前に進み出て、いかにも高級そうな首飾りと書状を拙僧に渡した。
「ではよろしく頼む。」
「こちらこそ。」
そういうと、拙僧はヴォルンルードを後にした。
ああ、まだ胸がドキドキする。
拙僧は聖域へと帰り、書状と首飾りをアストリッドに渡した。
しばらく書状に目を通していた彼女だったが、ほどなくして顔を紅潮させて言った。
「なんですって!帝国皇帝の暗殺!?すごいじゃない。」
「夜母の選別は正しかったようだな。」
「ええ、どうやらそのようね。」
「どうする?この依頼、受けるか?」
「もちろんよ。我々一党の権威を高める絶好の機会を見逃す手はないわ。でももう少し情報が必要ね。」
「ん?」
「この首飾りをリフテンのラットウエイにいるデルビンという男に見せて頂戴。そして価値を調べてもらって欲しいの。もし彼が欲しがるなら、売って構わないわ。」
はあ・・デルビンね。
「お頭。ご無沙汰だと思ってたら、闇の一党に入ってたのかよ。相変わらず手広くやってるなあ。」
「作者と一緒で広く浅くがモットーでね。飽きやすい性格なのに、このブログがまだ続いてるのが不思議なくらいさ。」
「は?」
「・・・おっと、脱線しちまったな。で、どうだい?この首飾りの価値は?」
「こいつはとんでもねえ代物だぜ。」

「ほう。」
「こいつは帝国代議員にのみ身につけることを許された首飾りさ。金にすりゃ、一財産は築けるな。」

「よし、決まりだ。そいつは我々盗賊ギルドの物にしよう。」
「おいおい、大丈夫かよ、お頭。ギルドの金の大半を費やすことになるぜ。」
「また稼げばいいさ。有望な新人は続々と育ってるようだし、お前達幹部も健在だ。なんとでもなるだろう。」
「分かった。じゃあ信用状を書くから、アストリッドに渡してくれ。彼女によろしくな。」
「へえ。あの首飾りは帝国の代議員の物だったの。ふふふ、依頼人ったらイケナイ子ね。自分の主人殺しを計画するなんて。」

「金も潤ったことだし、さっそく準備にかかるとしようか。」

「ええ、そうね。まずはソリチュードで催される結婚式で花嫁を殺して頂戴。」

「花嫁を?彼女と皇帝に何か繋がりがあるのか?」
「ええ。彼女は皇帝の従姉妹よ。そして花婿はストームクロークに繋がりのある男よ。戦争は終結したけど、まだまだ各地で小規模な反乱が頻発してる。だからこの結婚は平和と友好の架け橋になるはずなの。」

「それをぶち壊すわけか。」
「手段は任せるけど、なるべくこの暗殺が世間の注目が集まるようにやってもらえると、尚良いわね。」

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