イソルダの情報でモルブンスカーへとやってきた拙僧。
そこは死霊術使いの巣窟と化していた。
何度か死線を潜り抜け、奥へと辿り着くと、そこには不思議な球体があった。
何だ、これは?
指先で球体に軽く触れた途端、視界が真っ白に鳴った。
ここは一体・・・どこだ?
ん?誰かいるぞ。
てっ、てめえ!サムじゃねえか!?
「やあやあ。ようやく来たか。もう諦めかけていたぞ。」
「おい、これは一体どういうことだ?」
「どうもこうも・・・こういうことさ。」
サムはあっという間にデイドラの姿になった。
「サム・・・あんた何者だ?」
「俺の名はサングイン。」
サングインと言えば、酒・快楽・道楽・酒池肉林を司るデイドラの王子!?
「ああ、よく知っているようだな。」

「バカ騒ぎが好きなんだって!?」

「ははは・・。お前を巻き込んで悪かったな。ま、ちょっとした余興さ。」

「おかげで散々な目に遭ったんだぜ。」
「侘びとして、これやるよ。」
サングインが差し出したのは、一輪の薔薇。
「俺の特別製だ。重宝すると思うぜ。使いどころをよく考えるんだな。」
「ふん、礼なんか言うもんか。」
「はっはっは。お前は本当に面白い奴だ。気に入ったぜ。」
ん?ここは?
・・・バナード・メアか。
さっきまで、目の前でサングインが馬鹿笑いしていたのに、一瞬後には転移していた。
もう、何が何だか分からない。
理由も何もかも、一切聞く暇が与えられなかった。
分かったことは、サングインの気晴らしに付き合わされたこと。
それから、どうやら拙僧はサングインに気に入られたらしいこと。
手の中の一輪の薔薇が、そう拙僧に語りかけているようだった。

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