「ここか。」
首長に教えられたヘルギの墓はここだ。棺桶の中には彼女がいるはずだが・・・。
急遽、見知らぬ女が襲い掛かってきた。

女は攻撃魔法を駆使しつつも、隙あらば持ち前の鋭い歯で拙僧の肉を食い千切ろうとしてくる。
こいつ、吸血鬼か!?
「ラレッテ!ラレッテ!・・ああ、私のラレッテ!」
女吸血鬼を倒した途端、今度は男が絶叫しながら近寄ってきた。
この人は確か・・・奥さんが、内戦に参加するため旅立ってしまったとか言っていた村人のソンニールだ。
あ・・・何か気まずい。もしかして、この吸血鬼が奥さん?
一応、今の状況って正当防衛だよね?ね?
「あんたを責めるつもりはないよ。むしろ妻を解放してくれたと感謝している。」
「奥さんは吸血鬼だったのか?」
「今はそのようだが、少し前はそうじゃなかった。少なくともいなくなる前は。」
「いなくなる前って、戦争に参加しに行ったって時か?」
「ああ、そうだ。だが、本人から聞いた訳じゃない。アルバがそう、教えてくれたんだ。」
「アルバ?なぜ彼女がそこで出てくるんだ。」
「妻とはここ最近、仲が良くてな。ちょくちょく彼女の家に遊びに行っていたようだ。それがある日、突然アルバに私への言伝を残して旅立ったそうだ。」
「それって何か怪しくないか?」
「アルバを疑っているのか?バカを言うな。彼女は白だ。彼女を疑うなんて、ありえないよ。」
・・・この男もアルバの色香に騙されてる口か。

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