「うほほっ!本当に持ってきたか。」

「お前が言ったものは全部持ってきたぞ。」
ハイエルフ、ウッドエルフ、ダークエルフ、オーク、ファルメル(スノーエルフ)・・・各種族の血を抜き取るように、セプティマス・シグナスに言われ、山賊やら、死体やらから吐き気を堪え、血を抜き取ってきた。
セプティマス・シグナスによれば、本当に必要なのは、ドワーフの血なのだが、今は現存していないため、子孫筋に当たる5種族の血を錬金する必要があるそうな。
その血を使い、特殊なパワーを得て奥の扉を開けば、星霜の書を読み解く力が手に入るらしい。
さて、血の練成とは一体どんなものなのか?
ちゅうちゅうちゅう・・・ぐじゅぐじゅぐじゅ・・・・ごっくん。
は?
飲みやがった。
・・・ってか、ただ混ぜて一緒に飲んだだけって何やねん!
こんなんで錬金術とか言っていーの?
キモさとアホらしさと驚愕とがごっちゃまぜになって、拙僧は完全に脱力してしまった。

なんか、もう疲れた。
「開けゴマー!」
いやいや、アラ●アン・ナイトじゃあるめーし。
もうちょっと真面目に・・・
って開いたよ。
もう、このクエストってばむちゃくちゃ!
「お先ー!」
気が付けば、拙僧が惚けている間に、セプティマス・シグナスは中へと入ってしまった。
しかも猛ダッシュで。
野郎、中にある英知を独り占めにするつもりか。
待てっ、下衆め!
「ちぇっ、何だよ。単なる本かよ。」
消えた!
奥にあった本を見るなり、セプティマス・シグナスが愚痴った途端、彼の体は消えてなくなってしまった。
後に残ったのは、灰の山と、何事もなかったかのように、台座に鎮座したままの本のみ。
罰でも当たったのか?
とりあえず本を開いてみたけど、あんまりなあ・・よー分からん。
・・・と、そこへ、いつぞやの青いモクモクが現れた。
先日は大したアクションもなく、すっと消え去ったが、今回は何やら言いたいことがあるらしい。
「
わが名はハルメアス・モラ。過去や未来の運命の流れを司るデイドラの王なり。」

「デイドラの王が、拙僧に何のようだ?」
「
定命の者よ。我はそなたをずっと観察してきた。そなたは我が従者になることこそ、ふさわしい。」

「いや、勝手に決めんといて。」
「
さあ今一度入手したばかりの本を手に取れ。従者になる代わりに、膨大な知識を得る手助けをしてやろう。」
ぽいっ。
「お
いおいおい!英知の結集を捨てるなよ。もっと丁寧に扱え。」

「拙僧いらんし。」

「
知識だぞ。いろんな事が分かるぞ。」

「拙僧、お前の従者になんかなりたくないし。」
「・・・・。」
「んじゃ、そうゆうことでー。」
「・・・・。」
「・・・・。」
ハルメアス・モラだけが、その場にぽつんと取り残された。
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