「おお、従士殿。これは良いところに。」
マルカルスの従士になってからというもの、拙僧の下にはトラブル解決の依頼が頻繁に持ち込まれるようになった。
あくまでこの街での(主に女性の)人気取りが目的ではあるが、拙僧も体よく付き合ってトラブル解決に尽力していた。
今日は、ヴェルラスというアーケイの修道士から依頼が持ち込まれた。
「死者の間に何かいるようなんです。」
「何かって?」
「分かりません。ただ死体を食うんです。鼠とも違うようです。損傷が著しいものは一体や二体ではありません。」

「分かった。拙僧が中に入って調べてみよう。」
死者の間に入ってすぐ、いきなり拙僧は怪しげな女に出くわした。
「あら?あなたも罪を清めにいらっしゃったの?」
「罪?何のことだ?」
「大丈夫。すべてはナミラの御心のままに。」

「あんた、ナミラを信仰しているのか?」
ナミラと言えば、外見や趣味などで毛嫌いされるものを、守護することで知られる。
ナメクジ、虫、蜘蛛・・男女を問わず、忌避されがちな生き物を守るので、特に女性からは不人気なのだが。
「まあね。」

「ここにはあんた一人だけか?他に誰かいなかったか?」
「一人よ。特に見かけなかったわ。」
「どうでした?」
「ああ、怪しげな女が一人いた。そいつは去ったから、中はもう安全だ。」

「そいつを捕まえなかったのですか?」

「泳がしているのさ。この後、リーチクリフ洞窟で落ち合うことになってる。」
「落ち合う?一体何をする気です?」
「デート・・なら良いんだがな。何やら、ナミラ絡みの儀式を執り行うので手を貸して欲しいとのことだ。」
「ナミラ!・・・大丈夫なのですか?」

「まあ、成り行きに身を任せてみるさ。」
「待ってたわよ。よく来てくれたわね。」

「拙僧、女との約束を破ったことは、そんなになくてな。」
「少しはあるんだ。ふふ・・面白い人。」
「これから中に巣食ってるドラウグル達を片付けに行くの。協力してくれるのよね?」

「ああ。ところで報酬は?」
露出が多いためか、話しながら、ついつい拙僧の目は女の胸に釘付けになっていた。
「ふふふ。せっかちな人ね

」
この時、すでに拙僧は女の魔性の魅力の虜になっていたのかもしれない。

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