シルバーブラッド邸。街全体を見下ろせる高みに位置し、住人は、文字通り、ここから人々を支配してきた。
奥方は若く美人だった。
「主人とはお金が目当てで、結婚しましたの。全く後悔してませんわ。」
・・・そして腹黒だった。
「誰も通すなと言っておいたつもりだが・・。」
不満タラタラながら、シルバーブラッド家の現当主ソーナーは拙僧と相対した。
・・・その時、
悲鳴が聞こえたかと思うと、この家のメイドが奥方を刺しているところだった。
そして事を終えたメイドがソーナーにも襲い掛かった。
だが、ソーナーもさるもの。メイドの攻撃をさらりと交わし、なんなく手に持っていた食事用のナイフでメイドに止めを刺した。
「全てはフォースウォーンの為・・・。」
メイドの最期の言葉をソーナーは聞いていなかった。
「妻が死んでしまった!最愛の妻がいなくなった!もうたくさんだ。全てを終わりにする!出てってくれ!」
どうやらメイドの正体はフォースウォーンらしい。フォースウォーンのネポス老を死に追いやった拙僧と、原因を作ったソーナーへの復讐だろうか。
結果、悪はほぼ死に絶え、一人残ったソーナーは愛する妻を失い、絶望の淵に沈んだ。
拙僧は、全ての顛末を報告するべく、依頼者の男の下へと向かった。
「お前を逮捕しなきゃならんな。この男を殺した者として。」
「ついでにこれまでの殺人事件の罪も被ってもらおう。」
「さっさと手を引いておけば良かったものを。クックック。」
例のタロスの祠内で拙僧を待っているはずの依頼者は、血の滴る剣を持った衛兵達の足元で血の海に沈んでいた。
まさか、この街の衛兵がここまで腐敗していたとは・・・。
ソーナーの野郎、まだ懲りてなかったか。
拙僧は捕縛された。
PR