街道を当てもなくぶらぶらしていると、ロレイウス農園付近で立ち往生している荷馬車に出会った。
荷馬車の車輪が外れてしまったようで、道化師風の男が困った顔をしていた。
「ママと移動してたのに、無理になっちゃった。ママはとっくに死んでるから困ってるのは、ミーだけだけどね~。ハハハ!」
へ、変なやつ・・・
「そこに住んでるロレイウスに、修理するよう説得してくれると助かるな~。ミーがもう5回も頼んだのに、Yesと言ってくれないのよ~。ヒャッホー!」
「・・・という事なんだけど、修理してやってくんね?」
「嫌じゃ。あんな気色悪い奴と関わりたくもない。」
「気持ちは分かるけどさ~。」
「それに母の亡骸を運んでいると言うが、怪しいもんじゃ。何かあったらワシらにも類が及ぶわ。」
「でも困ってるみたいだしさ。恩を売っておいた方が、恨みを買うより後々良くね?」
「むむむ~。」
「OKだってさ。後で道具まとめて来てくれるよ。」
「ブラボー!あなたにはキランキランのピカンピカンの金貨をお礼にあげるネ!ミー感謝多謝よ。」
道化師から礼金を受け取って、数日後・・・
え?まだいるの?
慌ててロレイウス農園に行ってみると、じーさんはあれから何をした様子もなく、高いびきをかいて眠っていた。そう言えば、『いつまでに』という話はしてなかったかも?
・・・ま、いーか。
拙僧、嘘は言ってないし。

そのうち、修理にかかるだろ。
PR