
ウインターホールドの街に異形の生物が発生するようになった。
ミラベル女史の頼みを聞いて、拙僧はしばしの間、化け物退治に精を出した。
ま、女の頼みは断らないのが拙僧のポリシーではある。
(都合でどうとでもなる程度のポリシーだけど・・。
)
化け物をあらかた退治し終えると、今度は女史にマグヌスの杖を取って来てくれと言われた。
イカン・・あごで使われてる
もしかすると手を出してはいけない女に絡んでしまったのか・・・

マグヌスの杖があるという『ラビリンシアン』にやってきた。
地下に大都市がある遺跡だ。


不思議な話だが、ここには過去に校長先生とその仲間が訪れていた。
追体験を誰かが拙僧に見せている。
よくは分からないが、幽体となった校長先生たちがまるで拙僧のことには気づかないのだ。
校長先生は皆を勇気付け、励まし、叱咤していた。リーダーなのだろう。
先導を切って、この遺跡を進んでいた。
だが、罠や化け物との遭遇で、仲間たちはひとり、またひとりと倒れていき・・・
最後に校長先生は残る仲間を置き去りにして、一人だけ逃げ出した。
「すまない。仕方がないんだ。」と校長先生が言うごとに、後味の悪い思いがした。
驚いたことに、校長先生に見捨てられた仲間二人は、幽体となった今でもその身を賭して、地下に潜む最大の化け物を封じ続けていた。
拙僧は、彼らの肩に手を置き、「もういいんだ」と無言の眼差しを送った。
真意は伝わったらしい。
幽
体は封印術の継続を止め、成仏していった。
「南無・・・」友に裏切られても尚、使命を放り出すことを良しとしない魔術師達が静かに逝った。自然と拙僧の口から念仏が漏れた。
活気付いた化け物の親玉は、拙僧の一刀により一瞬の自由を謳歌しただけで旅立った。
「もしや、この追体験をさせたのは、校長か?」
そんな考えがふと過ぎった。
贖罪として、拙僧に自分の心残りを
代わりに
果たさせる。
見捨ててしまった仲間の魂を救いたい。その思いが最後に拙僧を導いたのだと。
しかし、それは感傷なのかもしれない。拙僧が、そう思いたいだけなのかもしれない。
複雑な思いをしながら、拙僧はマグヌスの杖を手に入れた。
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