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「はあ!?私が右僕射に任命されたあ??」 いつもは不機嫌そうな顔しか夫に見せない福貴も目を丸くして驚いていた。こんな表情もするんだな、と董清は小さく感じ入っていた。何と言うか・・・可愛い。元々目鼻立ちの整った顔をしているので、これで愛嬌さえあれば魅力的なのに、と常々思っていたが、彼の推測は当たっていたようだ。 「俺が任命した訳でない。新野の県令殿がやったことだ。」と首を竦めながら先回りして董清は続けた。董清に不平を鳴らそうとしていた福貴は慌てて口を噤む。 「政治に疎いという訳ではあるまい。漢朝では若いながらに義父上の政に助言をしたこともあるのだろう?神童と呼ばれていたと義父上は酒の席でいつも自慢されていた。」 「それでもどうして子飛殿は私のことをお知りに・・・?」 「さてな。いろいろと伝手があるんだろう。ともかく正式に官を賜ったのだ。汝も明日から政庁に上がれ。」 それからは福貴は董清と共に登庁し、議郎として同じく任官された蓬莱信と共に政務の補佐を始めた。今、董清は市場の開発に心血を注いでいる。その甲斐あって、上庸の町に活気が出始めた。税収は以前よりも確実に増えている。市場の開発に一段落が付けば、その後は開墾をして田畑を広げ、工房や兵舎を建設し、鍛冶屋も呼び寄せるつもりだ。せわしなく働く夫の横顔を見ながら、「ちょっと格好良いじゃない。」とポツリ呟いた。「え?」と隣の席に座っていた蓬莱信が何か言った?と首を傾げたが、何でもないとばかりに無視を決め込んだのだった。 PR |
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上庸では董清を中心とした董家の面々が(表上は鬼龍を太守として)、政庁の幹部として政に携わっていた。実質的な支配者が董清であることを知る者の中には、「親族縁者ばかりを重用して・・」と陰口を叩くものもいる。もともと董清が信をおく人材は少なく、逆に董清に忠誠を尽くそうと慕うものも少ないからなのだが。 董清の欠点は、他人に信を置かないことであり、他人に頼ろうとしないことだ。だからこそ他人との馴れ合いに関心はなく、そのような人間に魅力なぞあろうはずもなかった。下手に董清の能力が非凡な為、彼自身それで困ったことは然程ないのも要因である。 しかし、いかに個人の能力が卓越していても、彼に魅力がない以上人材不足は深刻で、それ故に上庸では、重職を任せられる人間は董家の者を置いて他にいない・・・というのが実情である。 これからの乱世を乗り切っていくには、このままではいけないことは、自身はもちろん幹部の面々も重々承知していた。筆頭武官である鬼龍は、今日もそのことで頭を悩ませていた。 鬼龍「とにかく若に、列強諸侯らと覇を競って頂くにはまだまだ駒が足らぬ。」 蘭宝玉「しばらくは現場で才あるものを登用していくしかないでしょう。魅力がなくてもコツコツと功を重ねて名声が上がれば、いずれ士は集まります。とりあえず軍資金を確保しましょう。今の税収だけでは立ち行きません。まずは市を作り商業を賑わらせて、税を集めるとしましょう。」 鬼龍「人を遣って調べさせたが、汝南の方には見所の多い士が何人かいそうだ。」 蘭宝玉「上庸から勧誘に出向くには遠方故、効率が悪すぎるわね。新野県庁に連絡して、必要な人材には確保をお願いしましょう。」 蘭宝玉「紫音様、軍資金を潤すには貿易が肝要です。まずは房陵港を掌握されてはいかがでしょう。」 鬼龍「うむ。そうすれば新野へ水路を利用した輸送も可能になる。軍事的観点からも有効な手立てかと。」 董清「よかろう。林玲、林玲はいるか。」 林玲「お傍に。」 董清「そなたは手勢を率いて、房陵港を我が手中のものとせよ。」 林玲「分かりました。」 董清「どうせ抵抗するものもおるまいが、本計画は迅速を持って良しとする。10日以内に港の主だった場所を支配下に置くべし。」 林玲「重ねて承知しました。」 董清「よし、行け。」 軍隊を動かすことで、民衆を不安にさせてはならないということで、鬼龍は義兄・大和と共に上庸の巡察を行った。 その功あって、けちくさい悪党の捕縛などが出来、少なからず上庸の治安は良くなった。 鬼龍「若!房陵港の林玲より、文が参りました。港の制圧に成功したようです。」 蘭宝玉「新野県庁にもお知らせするとしましょう。」 鬼龍「本日は若もご一緒に、巡察に回りませんか。」 董清「そうだな。たまには体を動かすのも良かろう。」 こそ泥を捕まえたり、女に暴行を働こうとした酔漢を捕縛したり、董清が良い働きをする度に、鬼龍はそれとなく喧伝して回った。 「良いか。董清様に任せておけば上庸は安泰なのだ。周囲の者にもそう伝えるが良い。」 董清と鬼龍が政庁に戻ると、蘭宝玉が報告にやってきた。 蘭宝玉「紫音様、新野県庁より伝達です。県令殿が漢朝より使者を迎えられたとのこと。詔勅があったようです。」 董清「ふむ、きっと悪い話ではあるまい。これはどういうことか?」 蘭宝玉「おそらく新たな爵位を叙せられるかと思われます。」 鬼龍「ほう。趙雄殿の名前が漢朝にも聞こえているということか。」 蘭宝玉「漢朝を実質支配しているのは曹操です。おそらく袁紹との大戦に備え、後方の憂いを断ち切るために、少しでも県令殿に恩を売っておきたいのでしょう。」 鬼龍「そんなことで、あの趙雄殿が踊らされることはあるまい。」 蘭宝玉「曹操としても爵位を与えるだけで、味方にできるとは思っていないでしょう。おそらく宛の張繍の牽制になればいいぐらいにしか考えてないと思われますが。」 董清は政庁での仕事を終えて、自宅へと引き上げた。ここのところ上庸での政に忙しく、ろくに母や妻の顔を見ていない。 妻・福貴とは結婚当初より折り合いが悪く、彼女のことは半ば諦めている。父・董卓の命で強引に政略結婚させられた二人だった。彼女は結婚してしばらくは我が身の不運に泣き通しの日々だった。今でこそそれは無くなったが、夫婦間の温かみなど今でも全く無いままだ。おそらく今日も顔を見るなり、不機嫌そうな顔をして、散々悪態を付かれることだろう。だから妻とはあまり顔を合わさずに、こっそりと寝所に潜り込んで眠ってしまいたいところだった。 だが慣れぬ土地へと移ってきた母・春風の心寂しさを思うと、母の元へ顔を出さずにはいられない。普段、他人にかける情けや恩情など持ち合わせていない彼だったが、唯一の肉親に対しては別だった。魔王と呼ばれた父の目に留まり、有無を言わさず嫁がされ、董家の一族からは妾呼ばわりされながらも、董清を守り抜いてくれた母には一生頭が上がらないと思っている。 妻には気付かれぬよう、こっそりと母の部屋へと向かっていると、残念な事に書斎から出てきた妻と鉢合わせしてしまった。 福貴「あらあら、どなたかと思えば、愛しの旦那様じゃありませんか?」 董清「福貴か。今帰った。」 福貴「そんなことは言われなくとも分かります。お母上の下へ行かれるのですね?真っ直ぐに。・・私のことは放っておいて。」 董清「何か用があるなら申せ。」 福貴「別に。私はただ旦那様がいつになったらお義父上のように天下に覇を唱えられるのか、待ち遠しいだけでございます。」 董清「そう遠くない。今しばらく辛抱せい。」 董清はげんなりしつつ、福貴との会話を切り上げた。実際に彼は嘘を付いているつもりはない。今、総がかりで上庸における造幣局の建設に取り組んでいる。通貨の流通が円滑になれば 収入も比例して多くなり、そうすれば多くの兵や武具を蓄えることも可能になる。名乗りを上げるのも、そう遠い日ではないのだ。だが相変わらず妻との会話に潤いは全く見られなかった。むしろそちらの方が先の見通しが全く立たないのだった。 |
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董清・紫音 男 成年172 開始時年齢28 統率97武力98知力96政治88魅力1 槍兵B戟兵B弩兵S騎兵B兵器S水軍S 特技 勇将 父親 董卓 母親 春風 配偶者 福貴 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 蓬莱信、蘭宝玉、林玲、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 董卓が娼婦だった春風に産ませた子供。董卓生前は大した後ろ盾もなく不遇な人生を送り、董卓死後は董一族への粛清を恐れて逃げ隠れする日々を送った。そんな日々の中で勝利こそが全てと信じ、過酷な世の中を生き抜いてきた。冷徹にして不遜、勝利の為ならば手段を選ばない。福貴の愛により彼の心に変化が生じる。鬼龍の指導を受け、弓の腕前は相当なもの。 福貴 女 成年174 開始時年齢26 統率60武力50知力90政治95魅力85 槍兵C戟兵C弩兵B騎兵C兵器S水軍B 特技 射程 配偶者 董清 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 春風、蓬莱信、林玲、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 董卓の命により董清に嫁いだ漢朝高官の娘。愛のない結婚が嫌で、嫁いだ当初は自分の悲運を嘆いていた。しかし結婚生活を続けるうちに、粗暴に見えた董清が、実は心の優しい理想的な夫であったことに気付く。数年間の冷えた夫婦関係を経て、彼女は今更ながら夫たる董清に恋している。父親が兵器設計の責任者だったこともあり、攻城兵器には女だてらに精通している。 春風 女 成年154 開始時年齢46 統率75武力80知力65政治68魅力92 槍兵C戟兵C弩兵S騎兵C兵器C水軍C 特技 射手 配偶者 董卓 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 福貴、蓬莱信、林玲、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 元娼婦。董卓に見初められ董清を出産する。董卓死後、長安から息子と共に密かに脱出し、故郷に帰る。心優しき女性だが、息子の為ならどんな犠牲でも払う覚悟をしている。護身の為、鬼龍から弓の手解きを受けた。それが縁で鬼龍と心を通わせるようになった。 蓬莱信 女 成年170 開始時年齢30 統率71武力80知力93政治90魅力46 槍兵C戟兵C弩兵B騎兵C兵器S水軍S 特技 工神 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 董清、福貴、春風、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 シルクロードを旅するキャラバンの元一員。東西の交易で見聞を広め、時代を先取りするような技術にも精通している。新しき物、未知なる物への好奇心旺盛な女性。漢の不正官僚の罠により、所属していたキャラバンは無実の罪で投獄された。彼女も危機一髪のところ、董清に救われる。 蘭宝玉 女 成年165 開始時年齢35 統率79武力2知力100政治99魅力100 槍兵C戟兵C弩兵C騎兵C兵器C水軍C 特技 能吏 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 董清、春風、林玲、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 董清の家庭教師。董清の初恋にして、初体験の相手でもある。上品な立ち居振る舞い、頭脳明晰、物腰柔らかく、美人。女性としては完璧だが、時折憂いを帯びた表情を見せることがある。董家に仕える以前の彼女の過去については謎が多い。 林玲 女 成年173 開始時年齢27 統率90武力100知力85政治18魅力87 槍兵B戟兵B弩兵S騎兵B兵器A水軍A 特技 弓将 相性 - 義兄弟 - 親愛武将 董清、春風、蓬莱信、鬼龍、大和 嫌悪武将 - 列伝 董清に付き従う近習の一人。戦場では董清の親衛隊を指揮し、彼の盾となって戦う。苛烈な戦いぶりで敵を恐れさせるが、普段は口数の少ない控えめな女性である。ただし口を開いたら最後、おそろしい毒舌がぽんぽん飛び出てくる。観察眼は鋭く、機転は利く方である。遠征中は董清の夜伽の相手も務めている。口には出さないが、董清を深く愛している。 鬼龍 奉千 男 成年154 開始時年齢46 統率99武力99知力85政治80魅力17 槍兵B戟兵B弩兵S騎兵B兵器A水軍A 特技 弓神 相性 関羽 義兄弟 大和 親愛武将 董清、福貴、春風、蓬莱信、林玲 嫌悪武将 - 列伝 弓の名手。董卓から董清の教育係として任命されて以降、武の師範として厳しく指導してきた。謹厳実直な男として有名だったが、春風と道ならぬ恋仲となり、董清と春風の長安脱出時に同行する。 大和 首里 男 成年153 開始時年齢47 統率89武力97知力91政治84魅力19 槍兵C戟兵C弩兵S騎兵C兵器S水軍S 特技 攻城 相性 張飛 義兄弟 鬼龍 親愛武将 董清、福貴、春風、蓬莱信、林玲 嫌悪武将 - 列伝 鬼龍の義兄。日出ずる国出身の渡来人。縁合って鬼龍と義兄弟の契りを結んだ。謹厳実直な義弟と違い、豪放磊落な男。大酒食らいで酒が切れると不機嫌になる。気に入らなければ平気で目上の者を殴り飛ばす。ただし弱い立場のものに手を上げることはなく、部下には好かれている。情に厚く、涙もろいところがある。 |
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ゼロ・レクイエム完遂の時にはナナリーと一緒に泣きそうになりましたよ。
目頭が熱くなったわ~。
ストーリー、キャラ、音楽どれも申し分なかったです。
特にストーリーは、主人公を中心とした頭脳戦が毎回スリルがあって楽しかった。
(ちなみに私は歴代JOJOの中でも第2部が一番好きだったりします。)
戦闘シーンも格好いいけど、やっぱり人と人との心理戦も織り交ぜた知能バトルは必見です。
何と言っても「戦略」が「戦術」を凌駕する下りはいつも観てて気持ち良かった。
お前、よくそこまで読みきるなあ・・と。
ギアスという特殊能力を持ちつつもそれに頼り切らず、
主戦場ではどんどんやられて相手が調子のっているところで、
先々を見通して打っておいた布石が次々と生きてきて、いつのまにか戦局を逆転させてしまう。
圧巻です。
相手も馬鹿ばかりじゃないんだけどね~。時には負けることもあるんだけど。
そういうのも味でした。
音楽はOPもEDも1期の方がより好きだったな~。
評価A |
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平原を陥落させた余勢を駆って、呂家軍と王連軍はそのまま南皮へと攻め込んだ。主君公孫瓉はいまだ平原に取り残されており、公孫瓉軍は防衛の体制が全く整っていない。 数人の将がそれぞれ迎撃の軍を出してくるが、各個撃破の餌食となるだけだった。あっと言う間に南皮は落ちた。 20都市を直轄する呂家軍は大勢力となり、とうとう呂燕は王に叙せられた。商人上がりの男がついに王侯の列に加わったのである。 これまで最強の槍隊と孫麗の智謀に頼りきりだった呂家軍は、ここにきて兵器開発に精を出すようになった。王連軍との技術交流が進んだおかげだ。 強みを増した呂家軍は北方の薊へと侵攻した。2台の兵器による波状攻撃、弩兵隊の昼夜を問わない攻撃により、薊はわずか10日で陥落した。 迎撃に出てきた公孫瓉は捕らえられたが、降伏を促す呂燕に対して捨て台詞を残して晋陽へと逃亡した。 公孫瓉の領土は晋陽を残すのみとなった。なお徹底抗戦を止めようとせず、最後まで戦おうとする彼だったが、あっけなく王連軍の猛攻に惨敗し、どこかへと落ち延びていった。 中華は王連と呂燕によって統一され、彼らによって支えられた漢朝は息を吹き返した。 王連は宰相として内政を取り仕切り、呂燕は呂家軍を率いて異民族の侵入から民を守り続けた。 第3シリーズ ー完ー |
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