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「はあ!?私が右僕射に任命されたあ??」 いつもは不機嫌そうな顔しか夫に見せない福貴も目を丸くして驚いていた。こんな表情もするんだな、と董清は小さく感じ入っていた。何と言うか・・・可愛い。元々目鼻立ちの整った顔をしているので、これで愛嬌さえあれば魅力的なのに、と常々思っていたが、彼の推測は当たっていたようだ。 「俺が任命した訳でない。新野の県令殿がやったことだ。」と首を竦めながら先回りして董清は続けた。董清に不平を鳴らそうとしていた福貴は慌てて口を噤む。 「政治に疎いという訳ではあるまい。漢朝では若いながらに義父上の政に助言をしたこともあるのだろう?神童と呼ばれていたと義父上は酒の席でいつも自慢されていた。」 「それでもどうして子飛殿は私のことをお知りに・・・?」 「さてな。いろいろと伝手があるんだろう。ともかく正式に官を賜ったのだ。汝も明日から政庁に上がれ。」 それからは福貴は董清と共に登庁し、議郎として同じく任官された蓬莱信と共に政務の補佐を始めた。今、董清は市場の開発に心血を注いでいる。その甲斐あって、上庸の町に活気が出始めた。税収は以前よりも確実に増えている。市場の開発に一段落が付けば、その後は開墾をして田畑を広げ、工房や兵舎を建設し、鍛冶屋も呼び寄せるつもりだ。せわしなく働く夫の横顔を見ながら、「ちょっと格好良いじゃない。」とポツリ呟いた。「え?」と隣の席に座っていた蓬莱信が何か言った?と首を傾げたが、何でもないとばかりに無視を決め込んだのだった。 PR |
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