「おい!正気か?」

「なんでそいつを連れてきた?」

「理由を説明できるんだろうなあ?」
カーリアを伴って、盗賊ギルドに戻った拙僧を、皆が殺意剥き出しで詰問してきた。


ま、無理も無いわな。
「みんな落ち着いて。私が裏切り者じゃないという証拠があるのよ。」
そう言ってカーリアはおずおずと先代の日記を差し出した。

ブリニョルフは黙って日記を受け取ると、パラパラと捲り始めた。
「・・・何だって!?・・・・まさか、そんな・・・・・信じられん・・・。」
ブリニョルフの表情が見る見るうちに曇っていった。
「おい?何が書いてあるんだ?」
辛抱しきれずにデルビンが詰め寄る。
「メルセルの奴、ギルドの金庫からすべてのお宝を持ち出しやがったらしい。」

「信じられないね!私達の目の前で、そんな大胆なこと、どうやったらヤレルっていうのさ?」
ヴェックスは端から胡散臭い話だと思ってるらしい。疑
わしい目でカーリアを見つめている。
「確かめる方法は一つだ。金庫の中身を俺達全員でチェックするんだ。」
ブリニョルフに言われるまでも無く、それしかないだろう。
拙僧とカーリアは賛同の意を示し、ヴェックスとデルリンを説得して、彼らにも立会いを了承してもらった。
「この扉は幹部3人がそれぞれ持っている鍵が揃わないと開かないんだ。」
「だからメルセル一人で開けられるワケ・・・・」
「ええっ!」
宝物庫の中は、文句の付けようもない程、一つ残らず空にされた宝箱の山だった。
「これで決まったな。」
「ああ、メルセルの野郎が俺達全員を裏切ったってことだ。」
「くっそーー!あの野郎、今度会ったらタダじゃおかねえ!」
おーおー!
メルセルの評価は急降下。

いいねえ。
「先代を殺したのはメルセルだ。カーリアじゃねえ。」
「疑う余地はないな。目の前の光景がそれを示してる。」
「じゃ、カーリアは無罪放免だな。ギルドに復帰できるか?」
「・・・分かった。全団員には俺から話をつけとこう。」
ブリニョルフが話の分かる奴で良かった。

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