これは拙僧が味わった恐怖体験である。
約10日ほど前に話は遡る。
マルカルスを散歩していると、奇妙な男に話しかけられた。
「この辺に廃屋はないか?」
暇だったこともあり、拙僧は案内がてら、男の仕事を手伝うことにした。
・・・おや、中はいろんなものが浮いてるねえ。すげえ技術だな。
・・・あれ?入ってきた扉が閉まって、開かないぜ。
・・・BGMがなんかおどろおどろしいんですけど。
「とーじーこーめーらーれーたーーっ!!どないしょ?どないしょ?」
あんた、パニックになった途端、いきなり人格代わってね?
「こーなったら、お前を殺して俺も死ぬー!」
何、ワケ分からんことほざいてんの?こんなムサイ奴と心中なんて、イヤーっ!!
「何で俺と一緒じゃ駄目なんだよーっ。俺の何がいけないんだ!?」
とりあえず全部。
男はヒステリー起こした挙句、浮いている土鍋にまともに頭をぶつけて動かなくなってしまった。
・・・今のうちに、別の出入口探して、逃げよう。
廃屋は意外に広く、奥に辿り着いたとき、どこからともなく声が聞こえた。
「よくぞ来た!お前に褒美をとらそう。前に出よ。」
錆びたメイスが台座上に置かれており、いかにもな感じで床に魔方陣が書かれている。
むっちゃ、罠の匂いがプンプンするんですけど。
・・・どーせ、言うとおりにしなきゃ、先に進めないんだよね?
ガシャーン!
大きな音がしたと思ったら、拙僧はいつのまにか檻に閉じ込められていた。
「ハッハッハ!引っかかったな。馬鹿め。そうそう上手い話があるわけないだろ!」
ヘイヘイ。
「なあなあ、そこから何が見える?なあ、そこから見えるものは何だ?」
意味不明。無視。
「祠をきれいにして、供え物を飾ってくれる奴を連れてきてくれ。なるべくマゾい奴がいいぞ。」
いきなり依頼かよ。しかもマゾ希望って何?
「報酬を取らせよう。我がモラグ・バルの名にかけて!お前に2つとない我が遺物を授けよう。」
ついさっき、あんた自身が言った台詞、覚えてる?
「・・・・・。」
面白いから、もうちょっと困らせてやろうかな?
デイドラプリンスの一人、モラグ・バルのお告げに従い、ログロルフというじーさんを見つけ出した。
じーさんに事情話したら、喜び勇んで、廃屋へやって来た。
うわ。いきなり跪いてるよ。・・おい!そこ、危ねーぞ!!
ガシャーン!
ほら、言わんこっちゃない。
「ホラホラ!この祠の掃除係になると言わないと、もっと酷い目に遭わせるぞ!」
「ああああーー(喜)。サイコー!ゾクゾクしちゃう。もっともっと。」
予想に反して、じーさんは感動していた。
閉じ込められたのが、よほどうれしかったのだろう。
「よし、お前は鞭でじじいを叩いてやれ!苦痛を味わわせてやるんだ。お決まりの台詞も忘れるな!」
どんどん興奮して盛り上がるMじーさんとS神様。
拙僧まで巻き込まれそうな気配である。
ヤダヤダヤダヤダ!
拙僧は耐え切れなくなって、逃げ出す他なかった。
これがすべてだ。
嘘だと思うなら、行ってみるといい。
恍惚に酔いしれるじーさんと神様に出会えるだろうから。
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