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【2024/04/20 10:04 】 |
n064 夢幻の如く (蠣崎家)9

 強大化する沼田への牽制の為、遼太郎は一計を案じ、大浦城周辺の城主に居城の改築を進めさせるよう取り計らった。表向きは伊達家と盟友関係にあり、蠣崎家と急速に緊迫状態にあった最上家への備えである。

 
 幸か不幸か、城の改築と周辺の防衛網構築を一段落させたばかりの名生城へ、最上家が進撃を開始したとの報告が物見より齎された。その数、凡そ2万。名将・最上義光率いる進攻軍の足は早く、あっという間に国境にその姿を現した。5千の兵しかいない名生城には緊急事態である。城主・大崎義隆は名生城の更なる改築と防衛網の強化を進める一方、救援要請の使者を利府城にいる慶広の元へ送った。


 要請を受けた慶広は直ちに軍議を開き、名生城の窮地を救う方法を諮った。准太は直接名生城へ救援に向かうのではなく、最上軍の拠点である山形城へ兵を向けることを提案した。自分達の城が攻められていることを知れば、名生城へと進攻を続ける義光も退却を余儀なくされると踏んだのである。しかも上手くいけば手薄となっている山形城を落とすこともでき、更には拠点を失って混乱する義光軍を一気に壊滅に追い込むことも不可能ではない。
 策の説明を受けた慶広は、膝を打ち、准太・虎太郎の両名にすぐに出陣の準備に取りかかるよう命じた。戦支度の為に騒然とし始めた利府城内に、時間稼ぎを狙ってか、伊達家から捕虜返却の交渉をしに有希姫がやってきた。
「・・殿を返して頂けませんか?」
「ふむ。しかし捕虜は戦の世の常。命をかけて戦った証でもある。ただ返したとあっては、家臣にも申し開きできぬが。」
「無論、見返りも用意してございます。当家に伝わる先祖伝来の家宝を差し出す所存。」
「魅力的な申し出ではあるが・・やはり駄目だな。お父上にはそう伝えて下され。」
「わかりました。では力づくで取り返すとしましょう。」
「ああ、全力で迎え討とうぞ。」


 准太・虎太郎率いる2万5千の軍勢が山形城南に位置する伊達家の砦の攻略を始めた。伊達家からの要請を受け、山形城に篭る1万の兵が出張ってきた。この時点で山形城には僅か1千の兵しか残っていない。


 柴田家では当主になったばかりの勝豊が急死し、無名の氷室安曇という者が跡を継いだとのことである。二代続けて当主が死去したことで柴田家は混乱の極みにあった。弱体化は否めないであろう。まさに新当主となった氷室の手腕が試されている。

「獅子王さん、ただ今戻りました~。」
「帰ったか草次。」
「ああ焙磁さん、これ北陸土産の饅頭です。皆さんでどうぞ。」
「勝豊はどうだった?」
「今際の際に必死に命乞いをしてきました。『金ならいくらでも出す。』とかなんとか。養父の時とは全く違いましたねえ。」
「器の違いだな。所詮人の上に立つ人物ではなかったということだ。」
「これで獅子王様の思惑どおり、中央は均衡が崩れましょう。羽柴と織田の両家の決戦も間近です。」
「妙な三すくみ状態だったからな。俺はただ一角を崩して膠着から脱する手助けをしてやっただけよ。ところで東北の方はどうだった?」
「焙磁さんが仰ってた蠣崎家とかいう地方の豪族のことですね。確かにめきめきと頭角を現してきてましたねえ。こないだも伊達政宗が一敗地に塗れてましたし。伊達も最上も蠣崎の傘下に入るのは時間の問題じゃないかなあ。」
「で、渡りの方はどうなってる?」
「家老の一人を懐柔することができました。あの者を通じていつでも彼の地で動乱を起こせます。」
「使えそうな奴なのか?」
「当人の器量はともかく、抱えている兵力、地理的優位は十分手駒としての役割を果たしてくれそうです。」
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【2016/06/02 01:12 】 | 信長の野望 | 有り難いご意見(0)
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