拙僧がいない間、アンカノはますます力を強めたらしい。
皆、大学の敷地内に留まる事すらできずに、外に放り出されていた。

極寒の状況下で、皆アンカノの築いた障壁を破ろうと、全力を尽くしていた。
「おお!マグヌスの杖を持ち帰ったのか?早速それを使え!」
トラフディルに言われるまでもなく、拙僧は杖を振りかざしていた。
途端に遺物から放出した膨大なエネルギーがすべてアンカノの元に向かい、アンカノは消滅した。
「ありがとう!君は大変な功績を成し遂げた。」
気が付くと、傍には神出鬼没のクアラニル君が立っていた。
「まだこの『マグヌスの目』を一般の魔法使いが使いこなすには危険がありすぎるんだ。これは我々が預かっておくことにするよ。」
「我々って?」
ふと笑うと、クアラニル君は名刺を差し出した。
「ス・・・SW財団!?やっぱりお前って!!」
クアラニル君は何も言わずに消えた。また性懲りもなく、時を止めたのだろう。

「校長先生!」
「へ?」
「あなたの功績を讃えるには、校長の地位しかありません!」
「ええ!?」
「謹んでお受けください!」
「いや、お受けも何も・・・拙僧ろくに授業を受けてないし。魔法もからっきしのままだし。」
「大丈夫です。我々教師陣が、全力でサポートします。」
トラフディルを初めとする先生一同が、熱い眼差しで拙僧を取り囲んでいた。
「そんなこと言われても・・・。」
いつまでも煮え切らない拙僧の耳元にトラフディルがぼそっと囁いた。
「来年にはカワイイ女生徒が大量に入学予定です


いかがです?これは、という娘に校長自ら個人指導をなされては・・・

」
トラフディルの顔を見ると、すっかり媚びへつらう悪徳商人のような顔になっていた。
・・・ふっ。個人指導か。悪くない。
「そちも悪よのう。

」
「では校長就任の件、承知ということで宜しいですね。

」
「うむ。苦しゅうないぞ。

」
「はは。ではあとは、万事このトラフディルめにお任せ下さいませ。

」
「よきにはからえ。

」
「やはり校長は、女には目がないようですな。

」
「何を言うておる。お主も甘い汁を吸いたいのであろう。

」
「はははあああーっ。校長のご慧眼には適いませぬな。いや、私めはほんの少しばかりのおこぼれを頂ければ、それで結構なのです。

」
こうしてウインターホールド大学には、新体制が築かれた。
拙僧が校長として君臨した大学の入学基準は、器量良しの女性には甘くなったとかならなかったとか・・

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