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【2024/04/20 06:29 】 |
甘い汁に群がる虫共
董清の指示が伝達され、上庸では漢中及び陽平関の攻略に着手することになった。
 蘭宝玉からの指示で魯蓮率いる戟兵隊を前軍とし、攻城主力の中軍は劉辟率いる井蘭隊となった。さらに林玲率いる弩兵隊が援護することになっている。蘭宝玉、張繍、春風は上庸に留まり軍備の増強に励むが、東西どちらの戦線に異常が生じても支援できるよう、準備を整えておく手はずである。


 さらに蘭宝玉は宛の趙雄に書状を送った。『次なる技術開発を進めませんか?兵の熟練を高める技術か、輸送を円滑にする技術辺りが妥当かと思うのですが。』


 いよいよ上庸軍が出陣した。


 漢中では馬騰軍が陽平関を落とし、余勢を駆って攻城を始めている。部隊を率いる韓遂達は一廉の武将だが、如何せん兵が張魯軍よりも少ない為、此度は失敗に終わるに違いない。だが両軍ともに疲弊するのであれば、上庸軍にとって漁夫の利を得る好機である。新野で始められた研究の成果が上がるのを待ちたいところだが、時機を逸するのは避けねばならなかった。蘭宝玉は林玲、魯蓮、劉辟に策を授けて送り出した後、自らは春風と共に弩の増産に取り掛かった。張繍には兵を鍛えなおすよう命じてある。漢中を攻略できても、馬騰や劉璋から守りきるだけの強さが必要だ。


 宛で兵達が気勢を上げている頃、漢中侵攻軍は静かに軍を進めていた。
 標的はあくまでも韓遂隊ひいては陽平関に居座る馬騰軍の駆逐ということにして、あくまでも隣国の危機を救うことを名目とした出陣であることを謳い、張魯を刺激しないように配慮している。先の上庸へ侵攻してきた張魯軍殲滅以来、急速に関係悪化している両国間でそのような虚言が通用するとは全く思っていないが、建前と言うものも時には必要である。上庸新軍の前軍を率いる魯蓮の統率は見事で、旗下の将兵の動向をつぶさに掌握していた。彼女の素性については謎が多い。


 漢中では上庸軍の接近を知らないのか、分かっていても目前の韓遂軍の殲滅に精一杯なのか、一向に防御の構えを見せようとしない。
兵をあまり損なうことなく漢中を制圧できれば重畳だが、それは期待しすぎだろうか。曹操軍の影響力の衰えは甚だしく、次は袁紹や孫策をも視野に入れた戦略図を描いていくことに蘭宝玉としても依存は無い。東の脅威に対抗する前に、まずは西の劉璋や馬騰が弱小のうちに早々に勢力圏に取り込んでしまおうか。

 
 漢中で三つ巴の戦いが始まった。劉辟率いる井蘭隊と林玲率いる弩兵隊が漢中のあちらこちらに火を付けていく。おそらく張魯の矛先は、馬騰軍からこちらへと変わるだろうが、多少の犠牲は止むを得ないと考えている。それよりも天水を出撃した馬騰軍の増援が気になるところだ。漢中攻略と同時に、陽平関共々この2部隊の殲滅を図るよう、蘭宝玉は漢中侵攻軍へと指示を出した。
 また趙雄には新たなる技術革新を推し進めるよう献策した。今後戦域が拡大する為木牛の開発を進めるか、軍団の大勢が装備する弩の改良をお願いしたいところである。また東方面の戦略としては許昌の攻略をして、漢皇帝を手中に押さえることを薦めた。それと同時に名だたる為政者がおらず空白地帯となっている汝南を孫策よりも先に我が物とし、東への前線基地とするべく行動を起こすよう促した。


 漢中を回り込むようにして、上庸軍は陽平関に肉薄していた。陽平関の南側を封鎖して、敵騎馬隊を北側に封じ込めてしまうのが狙いだ。陽平関をじわじわと締め上げ、敵騎馬隊が関内に入るなら、一緒に葬るまでである。あくまで張魯軍が上庸軍に牙を剥いてきたとしても、残り僅かとなった兵力では最早脅威にはならない。


「良ければ上庸へと戻らせてもらいましょう。漢中攻略というよりも、西涼や蜀取りに赴きたいので。」
趙雄の問いかけにそう董清は嘯いて見せた。梓撞からも部隊が派遣されていると蘭宝玉より文で連絡が来たところだ。漢中という甘い汁を吸いに、欲深い諸侯が蠢動し始めたようである。蛆虫共を一気に殲滅する良い機会であろう。ついでに福貴や蘭宝玉、鬼龍、大和といった自分に付き従う董家の面々の帰還も願い出た。


 劉辟隊が馬騰軍の計略に惑わされて身動きが取れなくなっている。早々に陽平関封鎖を林玲と交代したいところだが、それが困難な状況だ。加えて蜀の桟道を雷銅隊が進攻中との報告もあった。副将は法正らしく、できれば2隊で当たりたい相手である。陽平関封鎖に1隊、雷銅隊の殲滅に2隊を回せば良いが、やはりというが長期戦の様相を呈してくると兵糧が心許なくなってくる。上庸からの輸送が命綱ではあるが、木牛の開発が進んでいるのが心底ありがたい。董清が帰還すれば、戦術にも幅を持たせる事もできよう。


 漢中がついに陥落した。雷銅隊を迎え撃つには兵を城に入れて休ませる必要があった為、董清は林玲に伝令を送り、城攻めを急遽急がせたのだ。ついでに漢中城に取り付いていた馬騰軍の将も捕縛させた。


 当面の間、根拠地を上庸から漢中へ移す事に決め、上級官吏達にはすぐさま身支度をするように命じてある。ただし張繍には井蘭の製造を続けるよう命じてある。久々の董清との再会に感涙する張繍だったが、またもや留守居役を命じられ、がっくりと肩を落とした。
 漢中攻略が成り、上庸軍が沸き立つ中、魯蓮は宛の趙雄の元へ馳せ参じるべきか悩んでいた。大恩ある彼の治める宛へ、次々と曹操軍が攻め寄せてきていることは前々から聞いている。今こそ役に立てるのではないか、そう思うのだ。


「くっそおおおおぉぉぉぉーーー!身動きが取れねえ。」
 馬騰軍から次々と仕掛けられる計略に嵌り、兵達が混乱の極みにある。劉辟は必死に沈静化を図ろうとするも、次から次へと諜報の罠にと兵達が嵌るので、宛らイタチごっこの様相を呈している。兵糧が心許ないので、出来れば他部隊と入れ替わりを行いたいとこだが、漢中でも雷銅隊殲滅に忙しいらしく、当面援軍は期待できそうもない。幸い、自部隊が陽平関の封鎖を続けているおかげで、騎馬隊ばかりを擁する馬騰軍はいくら増援を増やそうとも計略を仕掛ける以外に何も出来ないようだ。陽平関からの逃亡兵も増えてきており、上手く遣れば馬騰軍も曹操軍同様に衰退させられるだろう。
 寿春の兵力が膨張している今、汝南攻略に当たり、孫策軍が脅威であることは間違いない。強気の戦略しか打ち出してこなかった董清としては同盟なぞこれまで考えた事もなかったが、こと経験値は趙雄の方がはるかに上である。蘭宝玉と相談し、趙雄の判断に賛成する意を宛から派遣されてきた使者に伝えた。
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【2014/03/16 01:22 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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