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「反対する理由はないな。むしろ願ったりの提案だ。」
趙雄からの書簡を読み終えた董清は満足そうな笑みを浮かべた。傍らの鬼龍も頷いている。 「我々上庸の編成部隊は弩兵と兵器を中心に考えておりますからな。機動性強化は歓迎すべき事でしょう。」 「輜重隊もより有効活用できる。遠地への輸送も滞ることなく、兵を餓えさせることはまずなくなるだろう。」 「輸送といえば劉辟は順調に船旅を続けているようですね。」 「そろそろ中廬港の近くを通るだろう。全く肝の据わった男よ。」 新野で技術開発が始まったと連絡が入り、上庸ではいよいよ工房に火を入れることが決定された。一度稼動を始めると、火を絶やすことのないよう、一気に仕上工程まで終えないといけない。 必然的に連日の作業になるのだが、職人達の中には倒れる者も出かねないきついスケジュールが組まれている。だがそのような事情にも董清は全く配慮を見せず、情け容赦のない予定通りの完了を技術仕官達に命じた。 「上庸の威信を掛けた兵器計画にこれより取り組む。魯蓮殿は治安の維持に努めてくれ。大和と林玲はよく補佐をせよ。では行くぞ。」 董清は慌しく、蘭宝玉と鬼龍を連れて工房へと出かけた。開発完了まで1ヶ月ほどかかる見通しだ。それまでに兵の調練や治安の維持を他の上級官吏が受け持つ事になっている。いよいよその時が近づいている。 時を同じくして、新野では車軸強化の研究が終わりを告げた。 「若、新野より設計図が届きました。我らが開発中の井蘭に組み込むべしとの由。」 極秘と銘打たれた図面をしばらく眺めた後、董清は技術仕官に渡し、早速適用するように命じた。 「黄河へ放った密偵からの報告はあったか?」 「はい。袁紹軍参謀が一人、審配の率いる船団が曹操の治める濮陽の城下町に突如として攻撃を仕掛けました。わずか二刻の間に町を一つ完全に破壊したそうにございます。」 「二強の小競り合いがとうとう始まったか。」 「まだ船団は濮陽の城下町近辺に停泊中とのこと。更なる狼藉を繰り返す気かもしれませぬ。無論、このまま放置しておく曹操軍ではありますまい。」 「曹操の関心は今、完全に北に向いているだろう。宛攻略の好機だ。新野に伝令を放て。来月には我が軍は進発するとな。」 PR |
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