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【2024/03/28 23:19 】 |
017 金の爪1


「先日は妹のカミラの為にいろいろと骨を折ってくれたそうだな。感謝するよ。」
「いや、大したことはしてないですよ。」
「実はお前さんの誠実さを見込んで頼みがあるんだ。」
「何です?」



「兄さん!まさかカイトさんやハルカさんに例のことを頼むつもり?」
「いいじゃないか。二人とも荒事には慣れてそうだし、人柄は信用できるし、うってつけだと思うがな。」
「じゃあ、私から頼むわ。兄さんは口が達者だから、二人を丸め込んでタダ働きさせそうだから。」
「おいおい、信用ねえなあ。」
「お二人さん、ちょっと表に出てくれないかしら?」



「あそこに山が見えるでしょう。」
「ああ。」
「あの山のてっぺんに古代ノルド人の墓地があるの。」
「知ってる。レイロフから聞いた。」
「今は山賊共が棲家にしているわ。」
「それは知らなかった。」
「タチの悪いことに、奴らの一人がね、我が家に押し入って、『金の爪』を盗んでいったの。」
「え、何だって?」
「金の爪よ。き・ん・の・つ・め。」
「へえ~、装飾品?」
「まあね。旅の行商人から兄さんが買ったの。」



「それを取り返せばいいわけ?」
「単刀直入に言えばそうよ。でも山賊が相手だから、危険は避けられないわ。」
「俺、荒事が得意ってわけじゃないけど、まあ先輩が同行してくれれば・・・。」
「私はOKよ。」
「じゃ、引き受けます。」



「お礼は弾むつもりだけど、危なくなったら逃げてね。命あっての物種だから。」
「まあ、善処するよ。」



俺と先輩は、ブリークフォール墓地を目指して山登りを始めた。
途中から地面に白い物が混じり始め、しばらく進むと一面の雪景色になった。

「先輩。寒くありませんか?・・・って、せ、せんぱい!」
「なに?カイト君?」
「い、いや。いつの間にそんな格好に!?」
「歩きながら着替えたのよ。ドキドキしたわあ、いつカイト君が振り向くか分からなかったし。」
「いや、それも変だけど、第一その格好が!」
「へん?戦闘服なんだけど?」
「っていうか胸!胸!」
「あらあ、赤くなっちゃって!うれしいくせに。」
「そんなことないです!」
「まーたまた!照れちゃって!なんなら中、見てみる?うふっ。」





「カイト君!カイト君ったら!」
「へ?」
「何ブツブツ言ってるの?着いたわよ、墓地に。」
「う、うわ。妄想か、またやっちゃった。」
「やっちゃった?」
「いや、何でも。・・・ってあれ?先輩その格好は?」
「さっき言ったでしょ。途中で着替えたのよ。」
「・・・・。」

あれ?
どこからどこまでが妄想なんだ??



「カイト君!人が死んでるわ。」
「ええ。山賊のようですね。仲間割れでもしたんでしょうか?」
「しっ。奥のほうから声が聞こえるわよ。」



「・・・二人だけのようですね。」
「隙を突けば、簡単に制圧できそうだわ。もっと近づきましょう。」



「隙あり!不意打ち御免!!」



「やりましたよ。上手くいきました!・・・って先輩?」
「どうかした、カイト君?」
「なんか・・さっきよりセクシーになってません?」
「あらあ、こんな所で私を口説くつもり?」
「い、いや、ありのままを言ったまでで。」
「それを口説いてるって言うのよ。素直が一番効果的なのよ。」
「そんな!俺そんなつもりで言ったわけじゃ!」
「じゃあ・・どういうつもりだったの??ふふふ。」
「ああ!先輩!止めて、そ、そこは!・・・ああ!」




「カイト君!カイト君ったら!」
「は、え?あれ、いつの間に村に戻って・・・?」
「今日はおかしいわよ、すぐボーッっとして。調子悪いの?」
「いや、そんなことはないです。それより、どうしてここに?」
「山賊の略奪品を回収してたら、荷物がいっぱいになったから、一度村へ戻ろうって言ったじゃない!忘れちゃったの?」
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【2012/09/08 21:59 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
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