「ようこそ、いらっしゃいました。スカイリムの高貴なるお客人。我々はあなたを歓迎します。」
大使館に入ると、さっそく館の主エレンウェンの出迎えを受けた。
うっ。いきなりの登場か。
簡単な挨拶だけして、さっさと離れるのがベターだろうな。
顔や声を記憶されたくないし、ボロを出したら大変だし。
拙僧が少し困惑していると、タイミング良く、バーテンダーが声をかけてくれた。
「いらっしゃいませ。お飲み物はいかがですか?」
良くみるとバーテンダーはマルボーンだった。
おそらく助け舟を出してくれたのだろう。
「マルボーン!主の私が話をしている最中に遮るとは、どういう了見ですか!?」
「・・・ああ、申し訳ございません。職務に夢中なあまりに、うっかりしておりました。どうぞお許しください。」
「今度やったら知りませんよ。」
拙僧は、エレンウェンとマルボーンが話している隙にこっそりとその場から離れた。
さらにタイミング良く、会場では騒ぎが持ち上がったようだ。
どうも酔った客の一人がウエイトレスに言い寄っているようだ。
ウエイトレスは迷惑そうにしていて、終いには悲鳴を上げだした。
途端に会場中の視線がそこに集まった。
エレンウェンも事を収めるべく、そちらへ向かった。
今がチャンス!
「ここは厨房だ。裏口からこっそりこの建物を出ろ。別棟に大使の執務室がある。情報があるとすれば、きっとそこだ。」
「分かった。」
「それから、あんたから預かっていた荷物一式を返しておく。幸運を!」
「助かったぜ。サンキューな。」
さあて、『盗賊ギルド』兼『闇の一党』の長の本領発揮といきますか!
こういう時は、黒い技術が役立つ。

どんな経験も決して無駄にはならないもんだねえ。

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