拙僧はカイネスグローブでドラゴン退治を終えた後、再びリバーウッドに戻ってきた。
「あら、おかえりなさい。五代・・・じゃなかったエダジマさん。」

「似合わねーから、止めとけ!ってか何だよ、完全装備で掃除って。」

「ノリが悪いわね。つまんないの。」

「そういう問題じゃなくて。」

「じゃー早速任務にかかって。ドラゴン退治の為には、情報収集が肝心よ。そしてそれに長けてるのは、ムカツクけどサルモールが一番ね。」
デルフィンの属するブレイズを目の仇にしている連中だ。帝国と白金協定を結んで以来、帝国領を自由に闊歩できるようになった彼らはブライズ狩りに毎日勤しんでいるという。
「奴らから、どうやって情報を取るんだ?」
「大使館で定期的に晩餐会が開かれているから、そこに潜り込めばいいわ。隙をついて会場を抜け出し、サルモール大使の書斎にでも忍び込んで、機密情報を盗み出すの。手引きしてくれる協力者がいるから、一度会って相談して。」
拙僧は大使館で下僕として働いているマルボーンという男とソリチュードで会った。
「分かっているとは思うが、警備は厳重だ。入口では手荷物検査もしっかりやってる。武器・防具の類は一切持ち込めないと考えた方がいい。」

「しかし、徒手空拳で敵の本拠地に行くというのも不安だな。」

「だから俺がいるんだ。必要なものを事前に俺に渡しておいてくれ。そうすれば、あんたが大使館内に入った後に、渡すことができるだろ。」
「へえ~。それなりに似合うじゃない。ちょっと格好いいわよ。」
拙僧はマルボーンと別れた後、デルフィンと馬屋で落ち合った。

『晩餐会に相応しい格好をしろ』と彼女に言われて渡されたパーティー用の服に身を包んでいるのだが、着慣れないためにどうにも居心地が悪い。
デルフィンは誉めてくれているのだが、『馬子にも衣装』と言わんばかりに、笑いをこらえているのがバレバレなので、拙僧としては余計に面白くない。
「じゃー、行ってくるぞ。」

「頼んだわよ。」
雪降る土地でのんびり馬車に揺られるというのも乙なものだ。

風邪さえ引かなければ・・だが。あー、シャドウメアで飛ばせば、すぐに来られるのに。。。

大使館の入口では兵士に招待状の提出を求められた。
拙僧は特段の気負いもなく、それを渡した。

招待状はデルフィンが八方手を尽くして、入手した本物だ。不安のあろうはずもない。
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