帝国軍によるウインドヘルムへの総攻撃がいよいよ始まった。

火球が次々と打ち込まれ、街のあちらこちらから火の手が上がっている。
「歩兵隊、突撃せよ!」
「おおおおおーーーーーっ!!」
テュリウス将軍の号令の下、兵士達が城門を突破して、街中に躍りこんで行く。
道を開けろ!
拙僧の邪魔をするな!
死に急ぐんじゃねえ!
敵に投げかける言葉とは裏腹に、ストームクロークにとっては災厄の如き、拙僧の進撃は宮殿前で一旦止んだ。
この門の向こうにウルフリックがいる。

彼を倒せば、内戦は一先ず終結するだろう。
だが、本当にこの道を選んで良かったのか?
ただ単に早く戦争を終わらせたくて、一方の側に付くことにした。
そして、たまたま惚れた女が帝国側にいた。

ただそれだけだ。
帝国が常に正しいとは思わない。
テュリウス将軍が人格者という訳でもない。
戦争の最中、幾度となく考えては消え、消えては考えた思考が、今また拙僧の頭の中を駆け巡っていた。
思わず握っていた剣を下ろし、俯く。
だが・・・・、
「……なるようにしか、ならないんじゃね?」
ふと、いつぞやホワイトランで酒を飲み交わした男が言っていた言葉を思い出した。

確か、『便利屋』を名乗っていたな。
飄々としていながら、内には篤いものを秘めているような男だった。
(そうだな。ここまで来たんだ。今更悩んでいても始まらん。)
拙僧は再び、顔を上げて一歩を前へと踏み出した。

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