「ありがとう。我が過ちを、お前が正してくれたらしいな。恩に着る。」
宮殿に報告に行くと、ヨルレイフの方からすっ飛んできて、拙僧に礼を述べた。
全くだぜ。
「これから先、この街の衛兵はお前に敬う姿勢を見せるだろう。いや、街の者皆がお前に感謝している。」
「ふん!我が予言を聞かせてやったおまえ自身が、予言を外させるとはな。」
ああ、確か「殺人は明日の晩に起こる」とか言ってたな~。
仰るとおりだけど、拙僧が何もしてなくても、あんたの予言は外れてたと思うぜ。
ま、憎まれ口を叩けるぐらいにウーンファースも元気で良かった。
そして、拙僧はウインドヘルムの首長と会見する機会を持った。
そう、スカイリム全土を2分する内戦のキッカケを作った男『ウルフリック・ストームクローク』とである。
彼は良くも悪くも真っ直ぐな男だった。
理想を貫こうとする姿勢に一点の曇りもなく、男として魅かれるのに十分な器だった。
「この街の従士になってはくれないか?そして私と共に帝国と戦ってはもらえないだろうか?」

「すまないが、意に添えそうもない。」
予めこう問われるを予期し、答えを準備しておかなければ拙僧は今、「否」とは言えなかっただろう。
「なぜだ?」
「帝国が正しいとは思わない。だがあんたも正しいとは思えない。それだけさ。」
「そうか。」
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この街の灰色地区と呼ばれる地区に住むダークエルフや港湾で働くアルゴニアンを見る限り、ウルフリックの言う『スカイリムの解放』は単にノルドに限定したもののようだ。まずそれが拙僧の癇に障った。
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次に上級王を殺害したこと。理想を貫くために邪魔者を力づくで排除する点は、拙僧にしてみれば、欲得で動く強盗となんら変わらない。自分が正しいと思ってる分、余計に吐き気がするぐらいだ。
「これからどうする?」
「さあてね。ソリチュードでも行ってみるかな。やはり双方の側に立ってみないと、公平でないからな。」
「抜け抜けという奴だな。」
ウルフリックは心底おかしそうに笑った。
「何とも気持ちの良い奴だ。だがもしお前と戦場で敵として出会った時、私は容赦しないぞ。」
「望むところだ。」
こうして拙僧とウルフリックの会見は終わった。
今後、二人の道が交差することがあるのかどうか・・・まだ誰にも分からない。
(作者にも分からない。。)
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