「本当!?うれしいわ。私のことをそんなにも想ってくれている人がいるなんて。」
夜道で渦中の人アルバに出会った拙僧は、フロガーが放火したかも知れない旨を伝えたところ、答えはあっけらかんとしたものだった。人が死んでいるというのに、この女には何の呵責もないのだろうか?
一瞬だが、この女から何か禍禍しいものを感じた。
深夜の“かくれんぼ”に備えて、早めに休息を取ろうと考えた拙僧は、一旦宿へ戻ることにした。
そして暇を持て余している女主人のジョナに事の経緯を話して聞かせた。
「へえ、そんなことがあったの。」
「ああ、まさか子供が幽霊となって、今も彷徨っているとはな。」
「首長に報告するといいわ。何か助言を得られるかもしれないわね。」
「こんな夜更けにレディーの部屋を訪ねてくるなんて、常識はあるのかい?」
「あんた首長だろ。非常事態だ。」
「ヤレヤレ、仕方ないねえ。で、何だい?」
拙僧は首長にもすべてを話した。
「子供の言を信じるなら、どうやらフロガーは犯人じゃなさそうだね。となると、愛人のアルバが怪しくなってくるね。・・・ま、ともかくあんたがヘルギに会いに行くのが手っ取り早いようだ。町外れの墓地の場所を教えてあげるから、そこへ行くといい。」
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