モーサルが呪い騒動で揉めているらしい。
そんな噂を聞きつけた拙僧は怖いもの見たさにこの街へとやって来た。宿屋の女主人ジョナによれば、フロガーという男の家が火事で全焼し、彼の妻子が亡くなるという事件が、つい最近起こったそうな。
「もし、この騒動の解決に一役買ってくれる気があるなら、首長に話をしてみて。」
「へえ。呪いと聞いて色めき立つなんて、剛毅な奴がいたもんだね。」

「こないだまでデイドラの王と絡んでたんで、すっかり慣れっこなんでな。」
「皆、怯えてて何も話したがらないし、真相解明に手こずってたんだよ。このままじゃ私の沽券にもかかわる。ヨソ者のあんたなら、真実に辿り着けるかもしれないね。」
全焼したフロガー邸へとやって来た。
首長は今回の火事は事故でも呪いでもなく、放火だと考えている。犯人はずばり主人のフロガーだ。
彼は家が焼け落ちた次の日から、愛人のアルバと一緒に暮らし始めた。

もし彼が放火犯なら、妻子を殺しておきながら、翌日には人目を引くような大胆不敵な行動を取っていることになる。その露骨すぎる行為には首をかしげるが、第一容疑者であることは間違いなかろう。
手がかりを求めて、現場検証を続ける拙僧は、突然近くからの視線を感じた。
周りを見渡すと、中央にひっそりと佇む女の子の幽霊がいた。
「君は?」
「私はヘルギ。この家に住んでるの。あなた、お父さんのお友達?」
「まあ、そんなところだ。何か用かい?」
「ううん、寂しかったから話そうと思って。最近お父さん、全然帰ってこないし。家に火をつけたあの人は、夜に何度も来るけど。」
「ヘルギは火を付けた人を知ってるの?」
「うん。苦しかったけど、顔を見たんだ。しばらくはそれっきりだったけど。最近私の眠っているところによく来るのよ。」
「誰か教えてくれる?」
「今は、だーめ!フフフ。ねえ、夜になったら、私を探して!『かくれんぼ』だよ。」
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