ファルクリースは一年中、霧や靄に包まれており、湿気が多い。
なんとも陰気な土地柄だ。

スカイリムで最も広大な墓地を構えているのも、陰気さに拍車をかけているのだろう。
拙僧が久方ぶりにこの街を訪れた時、その墓地でひっそりと葬儀が営まれていた。
葬儀が終了し、司祭が労いの言葉をかけて立ち去った後も、喪主である夫婦はその場を動かなかった。
凝固して、微動だにしない姿があまりに痛々しい。
「なぜ、娘がこんな目に遭わなければならなかったんですかね。」
拙僧がお悔やみを述べると、父親が呻くように言った。

行き所なく溜め込んでいた感情が、堰を切ったかのように溢れ出していた。
「まだ年端の行かない娘は惨殺されたんです。引きちぎられて、体をすべて集めることもできませんでした。」
「幼い少女がそんな目に・・・恐ろしい話だ。」
「犯人は分かってます。流れ者のシンディングという男です。だが普段の彼はそんな恐ろしいことができる奴には到底見えなかった。」
「人は見かけによらない。」
「ええ、それも分かってます。他ならぬ娘の為に、私は事の真相をはっきりと知りたい。」
「拙僧で良ければ、ご助力しよう。」
こうして、拙僧は父親マシエスの依頼を受けて、娘さんの死の真相を突き止めるべく、調査に乗り出した。
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