「どけ!」
「一体どうするつもりだ?」
「決まっている。聖域へと戻り、仲間を助ける。」
「仲間ってさっきお前は売られたばかりなんだぞ。」
「関係ない。誰を殺し、誰を生かすかは拙僧が決める。」
そう言うが早いか、拙僧は剣を構えて、衛兵の懐へと飛び込んでいった。
塔の上の帝国兵を斬り伏せ、拙僧はソリチュードの街へ出た。
・・しかし、正直信じられない。
あれほど結束力の強かった『闇の一党』に裏切者がいるなんて。
拙僧は家族とさえ思い始めていたのだが・・。
聖域周辺には帝国兵がワンサカいた。
その中でも拙僧たちが突入を試みた場所にいた兵士達はまさに災厄に遭遇したような面持ちであっただろう。
拙僧もシャドウメアも守護霊もまさに暴風雨のごとき働きで敵の囲みを突っ切ったのだ。
・・皆、生きていてくれ。
聖域へ向かう間、ひたすらそれだけを考えていた。

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