「全ての準備が整ったわ!」
「いよいよ本命だな。」
「そう。帝国の皇帝を暗殺し、我々闇の一党が昔のように名を轟かせるの。」
「拙僧が美食家に扮すればいいんだな?」
「ええ。皇帝を手にかける名誉をあなたに与えるわ。」
「具体的にはどう進めれば良い?」
「このジャリンの根を使って。料理に混ぜるの。すぐに効き目が現れるわ。もしかすると皇帝は自分が死んだことに気付かないかもしれないぐらいよ。だから決して味見をしようだなんて思わないことね。」
「その後は?」
「逃げるのよ。食堂の隅に塔の上に繋がる階段があるから、そこへ向かって頂戴。ワイロや脅し等思いつく限りのあらゆる手段を使って、手配をしておいたからその先は心配ないわ。」
「び、美食家!あなたほどの高名な方がいらっしゃるとは。どうぞお入りください。皇帝陛下はあなたの料理を心待ちにしていることでしょう。」
通行証を見せると、警護の任に当たっていたマロ指揮官は、びっくりした様子だったが、拙僧を通してくれた。
厨房ではこの城の料理長であるジアーナが、料理の下ごしらえを進めていた。
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