「護衛隊長の息子を上手いこと反逆者に仕立てあげたぜ~・・って、ヴィーザラ!どうかしたのか!?」
見れば皆も集まっている。
「シセロのイカレ野郎がとうとう本当に狂気に走ったのよ。彼はアストリッドに斬りかかったの。でもそれに気付いたヴィーザラが咄嗟に間に割って入って怪我を負ったのよ。」
「大丈夫よ、万能薬を今付けてあげるからね。」
「許さんぞ。シセロめ。絶対に後悔させてやる。」
「私も今回ばかりは皆と同じ意見だ。まさか護りし者がこんな凶行に及ぶとは。」
「夫が彼を追跡して、そのまま戻らないの。無事だと良いのだけれど。」
皆、興奮して収まりがつかないようだ。
殺しの任務は淡々とこなすクールさを持っていても、家族を傷つけられると激情に駆られるらしい。
シセロの使っていた部屋を探ると、彼の日記が出てきた。
「彼の行き先について、何か手がかりはあった?」
「ああ。日記が出てきたんだが、これによれば彼はドーンスターの聖域に向かったらしい。」
「ドーンスターの?あそこは閉鎖されて久しい場所よ。」
「そんな場所を知っているなんて、奴はさすがに情報通だな。」
「奴を追って、始末して頂戴。そして夫を無事に連れて帰って。お願い。」
「善処しよう。」
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