テュリウス将軍は帝国軍兵士達を、宮殿前の広場に集めて演説を始めた。
将軍の演説は無骨ではあったが、兵士の胸を打つ内容だった。
これまでの戦いを振り返り、兵士の中には涙を浮かべる者さえいた。
ウインドヘルムには帝国の息のかかった新首長が置かれることになり、治安維持の為、軍の大半がウインドヘルムに駐留することになった。

その他の兵士はスカイリム全土にいるであろう残党を殲滅する為に、各地を転戦することになった。真の内戦終結まで、まだまだ先は長い。
それでもウルフリックという強大な旗印を失ったストームクロークは、直に数を減らしていくことだろう。
「お前さんには随分と活躍してもらったな。」
勝利演説の後、テュリウス将軍は一番の功労者である拙僧を労った。
「おそらくお前さんあってこその勝利だった。もしお前さんが敵方に与していたら、こうやって勝利を叫んでいたのは我らではなかっただろう。お前さんには望みうる限りの最高の栄誉を与える準備がある。何でも欲しいものを言ってくれ。」
「そうか。」
「ああ、遠慮なぞしなくていいぞ。」

「では、『自由』が欲しい。」

「自由だと?」

「ああ。拙僧は冒険者だ。元々組織に縛られるのは苦手な性質でな。かと言って、せっかく帝国軍で手にした権力を放り出すのも惜しい。拙僧は強欲でもあるんだ。だから拙僧の好きな時に好きなように振舞える自由をくれないか?」
拙僧の言い分を、ぽかんとした表情で聞いていたテュリウス将軍とリッケ特使だったが、数秒の空白の後、リッケ特使が顔を真っ赤にして怒った。
「何、好き勝手言ってんの!あんた将軍の好意に際限なく甘えようとしてるでしょ!」

「悪いか?」

「な、ななな、なんてこと!」

「はっはっは。分かった!良いだろう。」

「将軍!」

「お前さんを将軍付きの名誉特使に任じよう。特に任はない。普段は好き勝手するも良し。事あらば、各地の帝国軍を好きに使ってよし。私に断る必要もない。」

「話せるじゃねえか!」
こうして拙僧は帝国軍内でも強力な力を手に入れた。
「従士・・その格好は?」
「ああ、見ての通りウルフリックの物だ。拙僧が男と認めた奴のな。」

「何故です?」
「さあ、何故かな。ただ、しばらくこの格好で各地を回ってみたくなって・・・な。」
PR