「あの~。ちょっといいかな?」
テュリウス将軍とリッケ特使が激論を交わしている最中、間の抜けた声が帝国軍本部の作戦会議室に響いた。
「邪魔しないでよ!会議中なのよ。」

「いや~。『帝国軍に入りたかったら、ここに行け』って言われてきたからさ~。」

「ふっ。余程の大うつけか大器が来たようだな。」
ヒステリック女がリッケ特使、鷹揚に構えてるのがテュリウス将軍だな。
ヘルゲンで会ったのが遠い昔のようだ。
「了解。あなたの腕前を計らせてもらうわ。新たな駐留地として確保したい砦があるの。今は勝手に山賊共が住み着いているのだけれど、奴らを一掃してきてくれない?」

「ふ~ん。そんなんでいーのか。」

「そんなんとは何よ、そんなんとは。油断してると、足元掬われるわよ。」
どんなに油断したって、山賊如きに傷一つ付けられそうにないんだけどなあ。
はい、一丁上がり!
「嘘でしょ!?たった一日で砦を落したって言うの?」
「どうやら大器だったようだな。お前さんの入隊を歓迎するよ。」

「ま、給料分の働きはするつもりだから。」

「はっはっは。では大金を用意しておくとするか。まずは鍛冶屋に行ってくると良い。お前さんの為に装備一式を用立ててやろう。」
「おう、将軍から聞いてるぜ。俺様特製の最高級の一品だ。ありがたく受けとりな!」
そう言って渡されたのは、革製品だった。
げ・・・懐かしすぎるぜ。
とりあえず帝国兵らしく、皆と同じ格好しとくかー。
鍛冶屋のおやっさんにばれないように、後でこっそり改造しとこう。
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