「この街で、今連続殺人が起きているんだ。犯人の手がかりは全くない。皆、怯えているよ。」
ウインドヘルムの陰気さは何も寒さのせいばかりではないらしい。
「まただ。またやられた。」
墓地の人だかりの中には、刃物でぐちゃぐちゃに切り刻まれた女性の姿があった。
「何故、連続殺人だと?」
「死体を見てみろよ。鋭利な刃物で切られるだけでなく、抉り取られた部分もある。しかも若い女性ばかりだ。これだけ状況が一緒なら、同一人物の仕業と考えるほうが自然じゃないか?」
「まあ、そうかもしれんな。ところで、忙しいんなら拙僧が捜査を手伝ってやろうか?」
「それはありがたい。今、我々は戦争の準備で手一杯でな。では、まず聞き込みから始めてくれ。」
「あなたが第一発見者だな。怪しい奴を見かけなかった?」
「確かに私が最初だと思うが、よく見てなかったんだ。」
「右に同じ。腹減ってんだ。少しばかり恵んでくれないかい?」
「私は死体を安置所に運ぶ為に来ただけだよ。」
「・・・てな感じだ。」

「がっかりしたろう。いつもこんな感じだ。犯人め、全く姿を見せやがらない。」

「こうなったら、とことん調べるぞ。」

「ちょっと待て!ならば、上司に一応話を通しておかんとな。今すぐ王宮へ行ってくれ。」
「いーよ。助かるわ。」
「もう帰ってきたのか?」
「・・・ああ、あっさりと承認された。拍子抜けだわ。あれ、死体は?」
「ああ、それなら死者の間へと運ばれたよ。」
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