「・・・ってワケなんだよ。ヴェックス、なんか知らね~か?」
「確かに古い友人のイザベラが訪ねてきたことはあったねえ。」
「おお、それそれ。で、どうなったん?」
「盗賊稼業をやりたいって、彼女が言うのよ。『止めときな。あんたには向いてないよ。』って何度か言ったんだけどね。」
「それで?」
「彼女が意地張って、動かないからさ。こっちが根負けしちゃったよ。素人でもお宝がまだ比較的GETしやすい穴場のダンジョンを教えてあげたんだけどね。」

「それ以降は音信はないのか?」

「それっきりさ。てっきり故郷に帰ったもんだと思ってたよ。」

「ランミルって男についてはどうだ?」
「イザベラと前後して、リフテンにやってきたねえ。私のことをやたらとかぎ回るもんだから、体よく追っ払ったよ。」
おお、かわいそうに。それで自暴自棄になって、ランミルは飲兵衛になったわけだ。

しかし、この分だとイザベラの先の話はあまり良くはなさそうだ。最悪の場合・・・。
ヴェックスが紹介したという『ホブのフォール洞窟』へとやってきた。
ん?入口付近に誰か倒れているようだが。
ハランから聞いていたイザベルの特長にそっくりだ。
ということは、もしや・・。
やっぱり彼女がイザベラだ。
下着の裏から出てきた手紙に、彼女のランミルへの想いと、今回の出奔の理由が述べられていた。
生前の彼女については知らないが、手紙の文章から読み取れる分には、彼女の誠実さには一点の曇りもなかったようだ。
拙僧はウインタホールドに戻ると、迷惑そうな顔をするランミルの横にどかっと座った。そして有無を言わさず、イザベラの手紙を突き出して見せた。
ランミルは最初は面食らったようだったが、手紙を読み進めるにつれ、涙をぼろぼろと流して懺悔を繰り返していた。
「しばらく一人にしてくれないか。」
彼のその言葉を契機に拙僧は席を立った。
その後、拙僧はランミルの事を忘れるほど、ウインターホルド中の悩みを解決して回った。
人々の感謝と共に、拙僧の名声も上がっていった。
そんなある日、拙僧は首長から突然の呼びだしを受けた。
「そなたの噂でこの街は持ちきりだ。随分と民衆を救っているらしいな。」
「取るに足りぬ相談がほとんどだったけどな。」
「まあ、それでも首長である俺の代わりに、随分と尽くしてくれたことには間違いなかろう。先ほどランミルからも報告が来ておる。」
「で?」

「で、そなたをウインターホールドの従士に任命しよう。この称号があればいろいろと便宜を図ってもらえて、便利だぞ。」
よっしゃ。ここウインターホールドでも確たる地位を築くことに成功したぞ!
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