「俺達の手でやっちまおうぜー!」
「そうだ、この街の平和は俺達自身で守るんだ!」
首長の命を受けた兵士及び有志の町民一同が吸血鬼打倒に燃えていた。
何せ自分達の街を吸血鬼の一団が乗っ取りを企てていたのだ。首長には正体を隠した吸血鬼が就き、町民は皆、吸血鬼の飢えを満たす家畜同様に成り下がるところだったのだ。
アルバはその計画を成し得るための尖兵だった。巧みに人心を惑わして、ある者は疑心暗鬼にさせ、ある者は虜にし、意のままに人々を操ろうとしていたのだ。
拙僧の手で事が露見した今、皆悪い夢から覚めたかのように、すがすがしい表情で、揃って武器を手に取った。
吸血鬼のアジトへ向かう足取りもしっかりしていて頼もしい。
「うおりゃあー!ソブンガルドへ逝ってしまえ~!」
町民達の急襲が始まった。
吸血鬼集団は、よもや自分達が攻撃を仕掛けられるとは思っていなかったに違いない。
臨戦態勢を取る暇もなく、次々に倒されていった。
「おい、起きろ!」
「残るはあんただけだ。」
吸血鬼集団は長を初めとして、皆町民達の手にかかった。
残るは、奥で一人眠っていたアルバのみ。
「見逃してくれたら、何でもしてあげるわよ。」
彼女は当然ながら、取引を持ちかけてきた。いつもなら拙僧もあっさりと陥落するところだが・・・。
「悪いな。他のレディーと先約があるんでね。」
そう言って、アルバを町民達に引き渡した。彼女はこれから街の法廷で裁かれることだろう。
吸血鬼のアジトの出口で、その小さなレディーは拙僧を待っていた。
「いろいろとありがとう。」
「どう致しましてお嬢さん。」
くすっと笑ってヘルギは、名残惜しそうに言った。
「もう行かなきゃ。お母さんが待ってるから。」
「そうか。お母さんを一人ぼっちにする訳にはいかないもんな。」
「また遊んでくれる?」
「ああ、いつでもいいよ。」
ヘルギは拙僧の返事に満足そうに頷いた後、すぅ~っと消えた。
おそらく成仏したのだろう。
「よくやってくれた。あなたにはモーサル、いやハイヤルマーチ中が感謝しているよ。」
「どう致しまして。」
「何か礼をしなきゃねえ。・・・そうだ、あなたに従士の称号と、それにふさわしい武器をあげるよ。」
「武器?」
「ああ、魔を打ち払い、正義を貫くための力を秘めた剣さ。」
拙僧は、ハイヤルマーチ地方にも基盤を気付くことができた。
武器よりも称号よりも、拙僧に何かあれば、首長や町の人々が味方についてくれる・・その言葉の方が何百倍も嬉しかった。
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