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蠣崎から北条氏政の亡骸が小田原城へ返されてきた。
「父上、父上、父上ぇ!」
物言わぬ骸と成り果てた父・氏政を前にし、新当主として就任したばかりの北条氏直は男泣きに泣いた。そして一頻り泣いた後、彼は蠣崎家の殲滅を心に誓ったのであった。武士として気迫に欠ける若輩者として家中の者からも侮られがちだった氏直だったが、この時ばかりは、猛将綱成をして心胆寒からしめるほどの怜悧な目をしていたと言う。
慶広は緊急の軍議を行うべく、結城城に主だった重臣を集めた。この時山中親子や伯楼は小田原征伐の為、半月も前に軍を進発させており、まだこの事態を知らない。
「まさか氏直にこんな構想があろうとは・・・あやつめ、それほどの気概のある男だったのか。」
「父、氏政を殺されたことが彼に自覚をもたらし、武将として成長させたのでしょう。危機的状況に追い込まれることで『化けた』のではないかと。」
「氏政を討ったことがこんな結果を導こうとはの。北条攻めはもう少し慎重に行うべきであったか。」
「それがしの失態にございます。いかようなご処置をもこの一身にてお受けする覚悟はできております。お許し頂ければこの場で切腹仕る!」
「待て!早まるでない准太。そちほどの有能で誠実な家臣をこの大事の前に死なせたとあっては、我は末代までの笑いものよ。」
軍議は白熱すれども、とりたてて妙案が出される事もなく、
まずは包囲網結成により、前線の各城の危機が予想されることから、各城主には戦に備えるよう通達が出された。また後方の各城にはいかなる前線への支援をも速やかに行えるよう、兵站を整えておく旨が指示された。陳腐な対応と言えばそれまでだが、それ以外にどうしようもないのが実情であった。
各方面の国境付近に武田や真田、北条の兵が展開されている報告が次々と入ったのは間もなくの事である。 略 いろいろあって蠣崎は日本統一を果たした。 PR |
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