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【2024/04/26 20:11 】 |
奇妙な北伐行
徴兵、訓練、巡察・・延々とそれが繰り返される。いずれの政策にも選りすぐりの将が当てられ、常に最高水準を維持できるよう工夫されていた。長安の政策はすでに内政重視から軍事重視へと一変している。
「内政?んなもん、出陣後に留守番がやっておけ。」
口にこそ出さないが、董清の顔にはそうはっきりと書いてある。さすがに露骨過ぎると民の反感を買うだろうと、福貴が市場開発を買って出た。
「現在の兵糧が18万。兵数4万で400日は保てるか。まだまだ雇用できるな。やはり5万は揃えるかな。」



 
董清、馬超、曹丕が義兄弟の契りを結んだ。いずれも若と呼ばれた者達だが、1つの王朝、軍隊を率いることも可能な資質に恵まれた者達である。馬超は先の西涼攻略戦で董清の戦いを目の当たりにし、曹丕は偉大なるあの父親を苦しめた(果ては滅亡に追い込んだ)者の一人として董清を最初は憎み、今では崇敬の念を抱いていた。それがふとしたキッカケで直接言葉を交わす機会を得、酒を飲み交わす中で、意気投合し、あれよあれよと言う間に契りを交わすことになったのである。

長安では引き続き、徴兵、訓練、巡察、兵装生産が行われ、その合間を縫って、市場や農場の開発が少しずつ進んでいっている。本格的な復興はどうしても董清が戦団を率いて出発した後になるだろう。

「良かろう。採用だ。」
 しばしの沈黙の後、董清は榛春に各将軍に伝えるよう指示を下した。意見が通った事に気を良くした彼女は軽やかな足取りで退出した。榛春・・・かの者は梁王の幕下にいた時分より新しく柔軟な発想をすることで評価を得ていたようだ。技術開発にも幾度か携わったと聞いている。梁王は彼女を育てよ、と董清の元に送ったのではないらしい。思わぬ贈り物を頂いたと素直に喜ぶとしよう。


長安の兵士数が4万を越えた。董将軍が北伐に参加するとの噂は、鬼龍や大和の情報操作も手伝って、早馬よりも速く周辺に伝わり、勝ち馬に乗ろうと野心ある若者や豪族、名士らが続々と参陣を願い出てきている。百戦百勝の彼の名将ぶりは、劉陵に勝るとも劣らず人気を博すようになっていた。董清率いる部隊は末端の軍属に至るまで英雄になれるという荒唐無稽な話まで飛び交っている。すべては主のために大和たちがあることないこと吹き込んでいる結果であった。一度兵として取り込んでしまえば、どんなゴロツキであろうと、精鋭に鍛え上げるだけの時間と労力はある。とにかく頭数を少しでも増やしたかった。
一部始終を知った董清が吐いた言葉が「勝手にしろ」である。まったく、兵士一人ひとりの夢想にまで責任は持てない。
 
 
解県港目指して4万7千の兵を率いて、王忠が進発した。本人は部隊長に選ばれたことで興奮しているが、人選に特に意味はなかった。単に「暇そうな奴」の中から、適当に董清が選んだだけである。とは言え、本人の意気込みは凄いものである。言わぬが花・・ということもあろう。
榛春の献策を入れて、まずは輸送隊を送った以上、長安に残った諸将は当面軍備増強から解放されることになった。しばらくは内政に専念することになり、穀倉の建設やら農場の集約やらに励む者も現れた。
 

孫家の怪しげな動きは確かに気がかりなところだ。
だが周信が必要な手を打っていることで、董清は長安の内政に邁進することにした。西部平野の商業都市は最後に造幣局を建設すれば完成する見込みだ。北部沿岸地帯の農業地帯の開発も順調である。ここで大穀倉地帯が出来上がれば、中原での大輸送基地の要になるだろう。
北伐を本格的に開始する前に是非とも進めておきたいところだ。


「槍兵の次は戟兵ですか。」
「そうよ。旋風の如く、密集地帯に入り込んで、周囲の敵部隊に打撃を加える事を得意とする戟隊だけど、それだけ集中攻撃を受ける可能性が高いわ。だから防御力を向上する手立てを考えて欲しいの。」
技術開発を続けるうち、黄権、賈逵、張春華を始めとした新野研究施設の面々は文武のあらゆる部門に深く鋭い知識を得るに至っている。きっと他勢力にしてみれば喉から手が出るほど欲しい人材であろう。だがそんな彼らに「無理難題だ!」と絶叫を上げさせるほどの要求を押し付けてくるのが蘭宝玉である。今日もまた青い顔をして蘭宝玉の部屋から出てきた黄権の顔を見て、末端研究員たちはこれから数ヶ月に及ぶ地獄を容易に想像できてしまうのであった。

 
 解県港の要所を無事制圧したとの報が王忠より齎された。董清は、休むことなく夏陽港の制圧に乗り出すよう、指示を与えた。まもなく長安の復興も間近である。多くの余剰人員が出ることが想定されるので、鄴もしくは今後平定予定の平原に移動して力を尽くせと命じてあった。

 
王忠が夏陽港の制圧に向かった。彼が見事制圧を完了すれば、いよいよ董清以下北伐に参加する将軍が長安を出立する事になる。長安では引き続いて徴兵及び調練を繰り返し、都を守護する最低限の兵は集めてある。あとは留守の将軍を信頼して、北伐に専念すれば良かった。
 
「これより出発する。後は任せた。」
董清、鬼龍ら主だった将が夏陽港へと旅立った。柔軟な発想力を見込まれて榛春も同行を許されている。また長安の復興に目処が付いてきたことで馬騰以下馬家の者達には、最前線にて働き場を求めるよう指示されている。とりあえず北伐の足がかりとなっている鄴に身を移す事になりそうだ。義弟の結婚に董清も馬超も祝辞を送ったが、如何せん軍旅の最中に知ったことである。いずれ正式に祝いの言葉を告げることになるだろう。


鬼龍隊と董清隊により西河港はあっさりと落ちた。密偵によれば、ここから晋陽まで地元の住民しか知らない山中を抜ける桟道があるらしい。梁軍は優れた踏破能力を兼ね備えているので、部隊の進軍には何ら差し支えないだろう。西からの災厄の到来に気付いているのかどうか、晋陽では兵の移動を行っているようである。

西河港に入った董清はすぐさま接収した営舎にて軍議を開いた。
今回の部隊構成も弩兵と投石機を中心として織り成す事を決め、隊の諸将の振分けも決定した。
一旦、この地で兵たちの鋭気を十分に養い、来週より長い遠征に乗り出すことになる。董清は新たな伝説を作るのか、ここが鬼門の地となるのか、それはまだ誰も分からない。

長安に残った宇文通らは徴兵と鍛錬を繰り返し、1万の精鋭を擁するほどになっていた。今行っている農地開発が順調に進めば、復興完了まであと僅かというところである。董清は進軍準備の最終調整を終え、いよいよ晋陽攻略に乗り出すときが近付いてきた。将兵ともに気力十分で、戦意は漲っている。長躯する間にそれを挫かぬよう、最大限配慮する必要があるだろう。今回の戦いの敵は晋陽兵だけではないのだ。

 
夏陽港から西河港への移動が遅れている。長江の河が氾濫し、容易に船で渡れなくなった為だが董清ら先に渡った者からしてみれば歯痒いことこの上なかった。出立の時が遅れたが、その分兵士達には十分なほどの休養を与える事ができた。ただ徒に時を費やしては望郷の念に駆られる者も少なからず出てこよう。懸念は尽きる事がない。
長安では最後の穀倉の建設に着手し、内政計画が最終段階に入った。そろそろ太守を決めて、その者に統治を委託する段階に来ていると言えよう。もともと潜在能力の高い都市である。どれほどの資金と兵糧を算出してくれるか計り知れない。

 
 董清を総大将した晋陽攻略軍が西河港を進発した・・・はずなのだが、あまりにも港は静寂を保っていた。大軍が動いた形跡がなく、港に侵入していた袁家の密偵も戸惑うばかりだった。
将のみで率いる兵が全くおらず、総勢でも10名に満たない軍隊であるとは夢にも思うまい。

 
董清達の物見遊山の如き進軍が続く。
「あなた、川だわ。」
「岸辺を歩くと危ないよ。足元に注意して歩くんだ。」
仲睦まじく、手を取り合って歩く新婚がまさか西涼の雄・錦馬超夫婦だと分かる者はまずいまい。彼らの周囲を歩く家人3人が天下に雷名を轟かしている五虎将軍だと判別できれば奇跡と言えるだろう。夫妻の後に付き従う侍女達が陽平関をたった一人で封鎖したかの林玲将軍や榛春将軍だとは・・(以下、略)

 
満を持して王忠隊が港を進発した。とは言っても大規模キャラバンとその護衛隊といった風情である。この程度の小細工で誤魔化せるとは到底思わないが、何かの撹乱にはなるかもしれない。「駄目もとでやってみましょー!」とは誰の発言かはあえて言わないでおこう。趙雄が懸念するとおり、本隊との連携が鍵になってくる。いずれ敵の迎撃があるだろうから、戦場になるポイントを正確に読みきる必要があった。

 
王忠「やべえやべえやべえ!」
輜重隊(その実、本隊)を率いる王忠は内心の焦りを隠しきれず、各部隊長に行軍速度を速めるよう指示を飛ばしていた。こんな大軍を扱ったことも初めてだが、輸送相手の董清達の足が恐ろしく速いというのが何よりの計算外だった。一体どんな調練を重ねれば、脱落者を一切出さずあれだけの速度で進めるというのか。とにかく董清から受けた命は唯一つ。「晋陽に着く前に追いつけ!」という至極単純なものだった。だがそれが如何に難題だったかは今頃になって気づかされた。

ひゃー!

 
「待ってくだせえ~。」
報によれば先鋒の鬼龍隊はすでに湿地帯を抜けて山間部へと差しかかったそうだ。まだ湿地帯の半ばにいる王忠隊にしてみれば、全く追いつける気がしない。だがさすがに将一人だけで関所や城に戦いをを挑みはするまい。とにかく脱落者を一切出さず、かつ迅速に行軍を続けるしかなかった。


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【2014/07/08 23:48 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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