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【2024/04/25 09:14 】 |
天下三分

「良かろう。あんた達と一緒に働くとしよう。」
成功英が魯蓮の説得を受けて、とうとう梁軍に参画することに同意した。これで元馬騰軍の将はすべて梁軍の将となった。
当面は武威での復興作業に従事することになる。早急に市場や農場を開発して、民を富ませる必要があった。それは元馬騰軍の将達にとっても望むところだ。武威の将は今、質量共に充実している。全員で一丸となってかかれば武威の復興など造作もなく終わるであろう。

 
武威での復興作業が始まった。戦乱で荒れた土地を作り直していく。何を為すにもまずは資金が必要だろう、ということで市場開発が優先された。幸いにも治安状態は良く、障害となるような盗賊の跋扈もない。開発に携わるのはほとんどが元・馬騰配下の面々だ。最初に与えられた任務が武威の復興とあって、彼らとしても取り組みやすかった。ゆくゆくは彼ら騎馬民族としての力を存分に発揮し、袁尚軍や孫家相手にその力を見せて欲しいところである。

武威の北の大地のあちらこちらで煙が立ち上っている。それと同時に木材を組み立てるカーンカーンという小気味良い音も引切り無しに聞こえていた。
桂之は馬超と共に武威の城下町を歩いていた。どこもかしこも復興に向けて皆が精勤していた。餓民にも等しく、飯と仕事が供給され、餓えるものも将来に憂える者も今はいない。自身の不幸を嘆くものがいなくなれば、他人の物を奪おうとする者が減るのは道理である。自然治安が良くなり、人が集まり、物流が良くなり、生活がますます改善する。辺境の地であった武威が今や都と見まがうばかりの発展を遂げようとしている。自分達だけでなく、周囲の皆が笑顔に満たされているのを感じて、桂之は胸が熱くなった。そっと夫の肩にしな垂れかかって、そっと囁いた。
「今、私とても幸せです。」
「奇遇だな、俺もだ。」

武威と安定の復興に軸足を置いている董清の下に、今後の戦略について相談する周信からの文が届いた。袁家と孫家と天下を三分する構図が遠くない未来に到来する事に関し、董清に異論はない。そしてそうなった場合、まずは北の袁家攻略を優先し、一応孫家とは同盟の形を維持するべきだと考えている。如何にそれが上っ面だけであることが見え見えであろうと、時に建前が有効であることも歴史が証明している通りだ。そして袁家攻略に当たり、やはり官渡港を起点とする方が労少なくして実り多しと思われた。西側攻略ルートは確かに敵の虚をつけるだろうが、兵站の維持が尋常でないのだ。そう意見書を認めて、返信を出す事にした。ま。あくまで一意見である。異なる意見が採用されようとも否やを言うつもりはない。

「ただ今、赴任致しました。以後、宜しくお引き立てのほど・・。」
「南に行け。田畑を耕せ。」
「えっ、あの・・」
言いたい事を言って、さっさと席を立とうとする董清に、慌ててつい声をかけた榛春だったが、まだ何かあるのか?とばかりにぎろりと睨む董清に少々面食らった。一介の士官の赴任に、豪勢な歓待など期待はしていなかったが、もう少し親近感が湧くような温かい出迎えを受けるものと想定していた。しかし現実は、榛春の着任があることは分かっているはずなのに、他の幹部は一切おらず皆、出払っているようである。董清にしてみてもたまたま用事があって政務室にいただけのようである。出立前に、蘭宝玉からある程度話を聞いてはいたが、極力無駄を嫌う董清の意向が全軍に浸透しているようである。
「いえ、特に。早速開発にかかります。」
それを聞くと、董清は少し頷いて、そそくさと部屋を出ていった。
(これは慣れるまで、ちょっと大変だぞぉ。)
荒療治だが、しばらく失恋の痛みなど忘れるぐらいの多忙さが自分を待っているようだった。

「平原から袁家の色を消してしまうか。悪くない。」
 曹操の没落を対岸の火事と捕らえていたのだろうか。袁尚のやっていることは兵力の逐次投入であり、曹操のそれと何ら変わらない。かつて鄴に駐屯していた大兵力はすでに半数近くまで減っている。平原の足がかりとして濮陽を残しておく限り、小うるさい蝿にたかられる如く、陳留が脅かされるであろうが、奪取してしまえば、敵軍を川岸で塞き止めることも可能である。劉陵の実力を持ってすれば、濮陽攻略は赤子の手を捻るよりも容易いことだろう。

 
「爆薬・・ですか。」
「ええ、一言で言えば、先日開発してもらった火薬の強化版です。虎牢関攻略時など、あれは非常に戦場で役に立っているようです。強化版ができれば、堅固な城壁をいとも簡単に破壊し、目の当たりにした者の抵抗する気を失くさせることも可能でしょう。お願いしますよ。」
「はあ。」
数々の開発を成し遂げてきた新野研究所である。主任研究員筆頭・黄権の功績はすでに梁軍中にあって一・二を争うものになっている。無論、賈逵や張春華のそれも頭抜けている。だが、それを誇って良しとしないのは、彼らの性格が成せる業か、それとも蘭宝玉の統制が効いているからか。だが確実に彼らの存在は、地味ながら梁軍にとって欠かすことの出来ない縁の下の何とやらであると言えよう。

武威での資金が不足しがちになってきた。もともと潤沢だったわけではない為、予想できたことではあるが、手を打っておかなかったのは失態と言えよう。大勢の将があちらこちらで指揮を取っている為、消費が激しいのも事実ではあるが。とりあえず開発が終了した天水よりまとまった金を輸送させることにした。
周信の通達を聞いて、蘭宝玉は兵器庫に眠っている物について思い出した。上庸には8台ほどの投石機が今は使われずに埃を被っている。今は人員を割く余裕がないので放置しているが、袁家や孫家との戦いに有効活用してもらう為にも、手が空いたらとりあえず宛辺りに運ぶとしよう。そこから東の汝南に運ぶも良し、北の陳留に運んでも良いだろう。

武威では精勤している将を労う為、特別報酬が支払われることになった。
「ひゃっほう!今日は酒屋で朝までいくぜえ!」
「こういう時こそ貯蓄、貯蓄・・と。」
「なあ、俺に貸してくれたら明日倍にして返すぜ。」
「久々に家族で豪勢な飯を食いに行くかなあ。」
人それぞれ様々な反応があるが、皆やはり喜んでいることに変わりはない。これまで以上の忠誠を誓う者がいるのは道理だった。なんせ、未来ではこれがあるから勤め人やってる者もいるぐらいだ。


 
武威と安定での地味な内政が続いている。武威ではとにかく市場開発が優先され、現状の資金不足をなんとか改善させようとしている。天水からの輸送隊到着まであと一ヶ月ほどかかるだろう。何とか少ない手持ち資金を使って、最大の成果を出す・・そんな経営手腕が問われていた。幸い、董清は魅力にはかけるが、多方面に才能豊かであり、そういった分野にも長じていた。まさに戦乱の時代にふさわしい申し子である。何とか武威の復興を軌道に乗せるべく、今日も算盤と格闘をしていた。寡黙ゆえに難しい顔をして悩む姿には、侍女などに真剣に怖がられていたりする。


劉備軍が滅び、とうとう中華は梁、袁家、孫家の三勢力が覇を競う三国の時代に突入した。中でも抜きん出た実力を誇るのが梁である。だが荊州、益州、西涼を支配下にして、質量ともに磐石の将兵を持ち、技術革新目覚しいかの国が、六年前までは無名の存在だったと誰が理解できるであろう。おそらく梁にまともに対抗しようとすれば、袁家と孫家は互いに手を結ぶ必要があろう。だが両家とも意地か因縁か、はたまた賈詡の調略故か定かではないが、その可能性は低そうであった。

 「良い機会ですね。北伐の準備を始めるべきでしょう。」
「武威の開発が済み次第、馬一族とその部下達を濮陽へ送ろう。」
蘭宝玉も董清も賛同する旨の返書を送ってきた。全く持って、いきなり敵総大将の捕らえるとは劉陵は大したものである。確かに彼の功績なくば、ここまで梁は大きくなっていなかったかもしれない。趙雄が五虎将軍に彼を任じたのも頷けた。
武威では市場と農場の開発が地味に進んでいた。安定では平野が元々少ないせいか、復興に目処が立ちつつある。

武威、安定で地道な開発が愚直に進められている。一昔前に比べると、目を見張るほどの発展ぶりだが、董清軍にあって、誰もそれを特段誇るでもなく、ただ淡々と目の前の仕事をこなしていた。
「平和ねえ。」
福貴が鍬を振るう夫の元に昼食の握り飯を運んできた。西涼、益州、南蛮の統括を任されている司令官が、まさかこんな所で額に汗して農作業しているとは誰も思わないであろう。だが必要と在れば全く雑事だろうが、厭うことなく自ら実行に移すのが董清のいい所でもある。福貴が声をかけたのが聞こえていなかったのか、完全なる無視をしている彼にちょっとむかついて、やや声量を大きくして呼びかけた。
「そろそろお昼にしない?せっかく作ったおにぎりが台無しになっちゃうわ。」
「ああ。」
いつもは侍女に任せきりで台所に入る事のない福貴だが、今日はなんとなく昼食を用意しようという気になって、悪戦苦闘した結果である。最初は本格的な料理に挑戦しようとも考えたのだが、いかんせん素人の彼女ができるわけもなく、早々に諦めて唯一彼女が過去に作った事のあるものにしたのだった。
「どう?おいしい?」
心配そうに自分の顔を覗き込んでくる妻に、董清はぱくついていたおにぎりを一気に飲み込んだ。味はややしょっぱいが、むしろ自分好みである。ふっくらとしていて、上手な部類に入るだろう。「ああ、うまい。」素直に感想を述べつつ、2個目に手を伸ばした。
「そう、良かった。」
少し不安だったが、幸い、結果は好評のようだ。にこりとして、福貴は竹筒に入れた水を差し出した。董清が喜んでくれると、自分もなんだか凄く幸せな気分になる。夫婦の契りを交わして何年も経っているが、今こそ福貴は夫に恋をしていると自覚していた。


「雲梯・・・ですか。」
「そうよ。敵の城壁を我が兵が手間取ることなく上れるようにして欲しいの。梯子を台車の上に取り付けて、一気に敵城壁に迫り、すぐさま梯子を展開し、それを使って兵士が城壁の上に辿り着く・・なーんてのができればいいわね。」
「今回は具体的な構図を頂きましたので、すぐにでも取り掛かれますが、やはり三ヶ月ばかりは頂きたいかと。」
「良いでしょう。だけど急ぎなさい。北伐の準備が進んでいるんだから。


「そろそろ石壁の修復が必要ね。」
 上庸大実験場の老朽化に伴う修復工事の為、蘭宝玉が工兵8千を率いて出発した。1~2週間程度、研究が停止するが止むを得ないだろう。ここは一気に懸念材料の払拭に当たるべきで、問題箇所以外にも点検を隅々まで行う予定である。
 武威や安定ではいずれも市場の整備が最終段階に近付いている。資金の確保が容易になった為、開発速度は上がっている。市場の目処が立てば、次は農場開発の大詰めを迎えることになるだろう。董清としては西涼の復興に目処が立てば、益州同様、誰か太守を任命して統治を委任する予定である。後の面々は皆最前線に移動することにしている。

 
上庸から宛へ投石機8台の輸送が始まった。元々実験用に数多く作られたものだったが、すでに上庸では無用の長物と化していた。ならば袁家や孫家との戦いに活用してもらおう、と倉庫から運び出されたと言うわけである。
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【2014/06/22 04:19 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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