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【2024/04/26 15:05 】 |
西涼討伐に向けて
成都の復興が最終段階を迎えた。貨幣の統制を行う造幣局が完成すれば終了だ。長かった成都勤務がようやく終わり、春風は董清達のいる永安に赴くことになっている。今や益州の資金及び兵糧の収益力は相当なもので、西涼や長江流域での戦役は仮に十数年に及ぼうとも十分賄えるぐらいになっている。そうなると南蛮の開発は自然と急務ではなくなってきている。南蛮の統治に当たらせている劉璋達には、精々己の食い扶持の確保と、叛乱なぞ起こされぬよう治安の維持に努めてくれれば良いかとさえ感じてきていた。
それよりも董清は段々と戦の虫が疼くようになってきていた。やはり自分は武人である。

永安で第2次開発計画が始まった。一度作られた市場や農場が更なる収益力向上の為に再構築されていく。それと同時に西涼戦線における作戦が練られ始めた。幸い、漢中攻略作戦の再三の失敗が元で馬騰軍に往年の勢いはない。上庸と漢中の兵と兵糧があれば、一気に4都市陥落させることも夢ではないだろう。思考を巡らせる董清の顔つきが段々と不敵なものへと変わっていった。

成都に続き、江州も開発の最終局面に入った。永安も建寧も概ね良好に推移している。雲南の開発が一向に進んでいないと報も入ってきているが、遠隔地の為事細かく指示を出せるはずもない。あまりに現地の担当者が怠慢しているようなら更迭もやむなしだろうが、今しばらくは様子を静観することにしている。

「永安の開発が一息ついたら、西涼攻略軍参画者には漢中に移ってもらう。」
急ピッチで開発進行中の永安城内の太守の間には主要幹部が顔を連ねていた。
「鬼龍、大和、福貴、魯蓮はいつでも行ける様支度を整えておけ。」
董清の命を受け、早速私室へと戻ったものの、大して多くもない荷物の整頓を早々に終えてしまい、床についたは良いがいつになくなかなか寝付けない為、魯蓮は夜の永安城内を散策する事にした。
城内で哨戒の兵を除けば誰も自分のように徘徊しているものはいない。皆昼の労働で疲れているのだろう。ふと空を見上げると、そこには満天の星空が広がっていた。
「綺麗・・。」
無駄を嫌い効率よく成果を上げる事を求める董清の下に来てからは、常にばたばたしてゆっくり夜空を眺める事をしていなかったように思う。
民の笑顔を見たいが故に、董清達の期待に応えたいが故に、ひたすら頑張ってきた。そして、いつの間にか記憶を取り戻せなくて、うじうじしていたことなど忘れてしまっていた。
「あ~あ~。別に過去のことなんてどーでもいーよね~。」
今の自分を必要としてくれている人たちがいる。確かに充実した幸せな毎日を送っていると自負できる自分がいる。それで十分ではないか。夜空を久しぶりにゆっくりと眺めているうちに何だか悟りを得たような気になった。なんだか気持ちが晴れやかになった。この分だと寝床に戻ればすぐにぐっすりと眠れそうだ。部屋に戻ろうと踵を返しかけた時、突如魯蓮の視界が真っ白になった。

(・・・・痛ッ!)

頭に激痛が走ったような気がした。そして自分が騎乗の人となって、同様の女性達と楽しげに併せ馬をしている光景が一瞬見えた。
(え?誰?)


ある日、大和と鬼龍兄弟が神妙な面持ちで董清の執務室へとやって来た。
「俺の世間的評価が低い?別に構わんさ。」
「いや、しかし若よりも我々の方が官職が上というのもどうにも・・。」
「ふん、世間体なぞどうでもいいがな。だが、お前らに苦慮させているというのも分かった。で、俺は何をすればいいんだ?」
「城を落として頂くとか、技術開発に成功して頂くとか、地道に輸送を繰り返して頂くとか・・。」
「差し当たって、今甘寧殿達が進めている投石開発が終了すれば、次の段階の霹靂開発の担当者に名乗りを上げられてはいかがでしょう?」
「それが良い。開発に適した人材が集まりやすいよう、上庸の空白地に人材府を建てましょう。普段は彼の地で都市と港間の輸送を担当して頂いて・・。」
「霹靂車が完成すれば、効率的運用の実験官になって頂くのも良いですな。石塁を配置してそこに霹靂攻撃を只管行った成果を纏めて頂くのも、世間的に目に見えやすいかと。」
「おいおい・・・お前達勝手に盛り上がるな。」

かくして『若様、世評向上大作戦』が秘かに始まろうとしていた。


「面倒だ。却下する。なぜ俺がそこまでせねばならん。」
当初は鬼龍や大和にあれこれ言われて、功績を上げる努力をしようとその気になっていた董清だったが、たった一週間ですべてを引っくり返した。
「益州も南蛮も復興できたならそれでいい。開発に躍起にならなくて良い。ヨシ、今の開発が終了したら西涼に向かうぞ。」
武人としての血が騒いでならぬらしい。いや人気取りに現を抜かすことがそもそも性に合わない行為なのだろう。ひたすら耐えて内政にも邁進していたが、ここらが限度だったようだ。


益州及び南蛮に駐屯する軍団を董清は再編成した。漢中と永安のみを直轄地とし、その他は統括者を定め、完全に治世を委任することにしたのだ。これはそう遠くないうちに軍事行動に出ることの意思の表れであった。上庸にいる兵士を漢中に集結させるよう林玲に命じたことからもそれは分かる。馬騰軍との対決の時が迫っている。


「では行ってくる。」
董清と福貴がわずかな供回りと共に漢中へと旅立った。到着は一ヵ月後になるだろう。先行している鬼龍と大和が漢中入り後、董清達が来るまでの間に戦支度を進めておく手筈になっている。
「ご武運をお祈りしております。」
蘭宝玉は永安を後方基地として完成させるという任務を背負っていた。本当は董清と共に漢中へと行きたかったが、誰かがやらねばならぬことである。今回は我慢することにした。前線を担う者達が後顧の憂いなく戦えるよう、後方を整えておくのも大事だろう。
そう言えば荊南に潜ませていた間者より孫家の船団を目撃したとの連絡が入った。最後の空白地帯・零陵へと舳先は向いていたとのことである。趙雄に一報しておいた方が良いだろう。
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【2014/04/27 21:09 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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