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【2024/04/25 17:38 】 |
益州復興
益州平定が完了した。長らくの遠征生活に早々に終止符を打ちたいところではあるが、度重なる戦乱で荒れ果てた永安の町を放置する事はさすがにできない。董清は自ら市内巡察を行い、不逞の輩を一網打尽にした。また自軍の兵が民に狼藉を働いた場合は誰であろうと容赦なく斬って捨てると全軍に通告している。それらの施策を行っただけで、劉璋軍が占拠していた時よりも格段に治安が良くなり民は喜んだ。
上庸の地では新たな井蘭が完成し、太守・林玲が宛へと輸送する計画を立てていた。「弩2万3千弱、衝車1、井蘭3。宛へ。」


「宛の膝元である武関が孫家の管理下にあるというのは頂けませんね。弩兵隊か井蘭隊と制圧部隊を連携させ、孫策軍が陥落させる前にこちらで制圧すべきでしょう。」
「長安についてはいかがですか?」
「勝算があるのならば、出撃に賛同します。董清様以下は益州平定されてからまだ間がなく、戦後処理に今しばらく時を費やしましょう。よってすぐには西涼や長安へ軍を出すことは叶いません。宛単独で、ということで構わなければ。」
「益州といえば、劉璋たちの処遇は?」
「とりあえず自治権を与えておきます。雲南の制圧も命じておきましょう。正直南蛮のことまで、とても手が回らないというのが本音です。もし趙雄様が直轄におかれるというのなら、異論はありません。人材の有効活用もお任せします。」


 漢中軍は益州全土の戦後処理に忙しくしていた。現在は主に成都、江州、永安での復興作業に注力している。董清も自ら剣を鍬に持ち替えて、耕作に精を出していた。陽平関では餓えに苦しむ馬騰軍が自滅の道を邁進している。漢中軍が一兵も損ねることなく内政に専念している間に、馬騰軍はかつて曹操軍から長安を奪った時の勢いを完全に失っていた。組みし易しと安易に荊北同盟に手を出したばかりに馬騰は没落へと突き進んでいる・・・まるで往年の曹操のように。


「あーもう見てらんないわね。」
建寧での意味不明な施策実行ぶりに業を煮やした蘭宝玉がわずかの間に前言を撤回し、建寧を直轄地に置く事を宣言した。劉璋の愚鈍さが腹に据えかねたのであろう。代わりに開発が終了している上庸と梓潼を太守に一任することにした。成都の開発計画もかなり進んでいる。あとは江州、永安、建寧、雲南を後方基地として整備できれば言う事はない。


 趙雄が孫家を出し抜いて、上手く勢力拡張を図っている頃、益州では地道な開発が続けられていた。転戦に告ぐ転戦の連続で、心身共に休む暇のなかった今回の遠征で少なからず疲労が蓄積していた漢中軍にとっては図らずも生まれた機会である。正に僥倖と言えよう。


 益州の復興は順調に進んでいる。殊更劇的な展開があろうはずもなく、まさにのどかな日常が続いている。ともすれば戦乱の世である事を忘れてしまいそうになりそうな時の中で、董清達は鍬を槌に持ち替えて、今度は市場の開発に勤しんでいた。内政が一段落したら、技術開発に精力を注ぎたいと蘭宝玉は考えていた。軍制改革を試みるもよし、いつぞや周信から報告のあった投石兵器というのも面白そうだ。弩兵が主体となったわが軍においては、強弩の開発も有効だろう。まずは趙雄に話を通してみよう。


「益州復興に目処が付いたら投石機の開発に着手するとしよう。」
趙雄からの意見書に目を通し、董清は傍らの鬼龍に告げた。西涼の攻撃には是非、投石機を持って行きたいものだと思う。かの地にいる騎馬民族はどのような反応を示すだろうかと思うと、少々愉快になった。もしそれを船団に積めば、孫家に負けない水軍を創設できるのではないだろうか。水上からの攻撃を活用すれば、大兵力を有する柴桑や江夏とて瞬く間に攻略が可能かもしれない。


 劉陵の読みどおり、孫家と曹操軍は遭遇こそしたものの、小競り合いを行ったのみで、大きな衝突はなかった。同盟を組んでいるとは言え、やはり孫家は自軍優先のようだ。抜け目ないというか信用できない。いや陳留やら武関やらを眼前で掠め取っておいて、こちらが言うのもなんだが。


 兵糧の確保を重視する余り、農場の開発を優先していたのが仇となったようだ。永安で軍資金が枯渇気味になっていた。おそらく来月の徴収で間に合うだろうが、政をぎりぎりの所で行うような危ない橋は渡りたくない。董清からの要請を受けて、蘭宝玉は急ぎ江州にいる魯蓮に輸送を行わせることにした。魯蓮は・・というと、未だ記憶が戻っていないが、本人は全く気にしていないようだ。むしろ屈託なく明るく過ごせるようになってきていた。益州の料理や文化を初めとして、日々の暮らしにも慣れてきたのだろう。もしかするとこちらの出身か?とも蘭宝玉は考えたが、確たるものは何もない。とりあえず魯蓮は命を受けて、颯爽と永安へと旅立っていった。


「なあ、俺らって何か地味じゃね?」
「そう言うな。市場開発も立派な仕事だ。」
「でもなあ、片や名将と華々しい一騎討ち、片や槌持ってエンヤコラサッサじゃなあ。」
「充実した後方支援あってこその前線の活躍だ。趙雄殿や若はその辺の評価はきっちりしてくれるだろうさ。」
永安で黙々と大工作業に耽る義兄弟の他愛もない会話である。成都や江州での開発は終盤に差し掛かっており、永安もほぼ第一段階が完了したところだ。人財を集中すべき箇所に注ぎ込むのをヨシとする董清軍にあって、目下のところ今は永安が核となりつつある。当面は内政中心というのが政策の基本方針なので、武官からすれば槍や弩の代わりに鍬や鋤、槌を持つのは忸怩たる思いがないと言うと嘘になろう。とは言え董清の命は絶対であるので反論する者なぞいようはずもない。ただ陳留での活躍の報が聞こえてくる度に溜息が聞こえてくるのは
仕方がないことかもしれない。


「若、趙雄殿が公に封ぜられたようですぞ。」
「そのようだな。」
「それに引き換え、若は無位無官。宜しいのですか?」
「俺は他人から与えられる爵位や官爵に興味はない。だが、お前達がそれなりの官爵に付けるよう上奏しておこう。有益なものであれば、何であろうと使い切れば良いのだからな。」
「確かに官吏の中には爵位や官爵の有無で態度を変える物がおるようですな。」
「嘆かわしいことだ。肩書きがあろうとなかろうと、中身に差が付くわけでもあるまいに。」
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【2014/04/26 16:17 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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