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【2024/04/20 16:24 】 |
あえて永安を奪わせよ

 董清は目論見どおり、迎撃に出てきた敵部隊を難なく蹴散らし、永安城へと各部隊を急行させていた。城兵は最早2千に満たない。彼我の戦闘力を比べれば、一撃の元に陥落させることも無理な話ではない。中央にて劉璋に降伏勧告すべしとの意見が持ち上がっていることを先日、董清は遠征先の野営地にて聞いた。もちろん大賛成である。無駄な国力の浪費を避けられるならそれに越したことはない。ただ、かの劉璋が勧告に応じてくれるだろうか。それ相応の使者を立てねば成らぬかもしれない。やってみる価値はあるだろうと思う。難しい場合はあくまで力押しという道が待っているだけだが。


 永安城が陥落した。福貴隊と鬼龍隊が城外に接近し、わずかばかりの火矢を射掛けて威圧しただけで、城内の将兵は狼狽し、堰を切ったように逃亡者が続出した。一週間も経たぬ内に人っ子一人見当たらぬ状態になったというから、攻撃側としても「もしや罠では?」「これが噂の空城の計?」などといぶかしんだものである。あとは近くの巫県港にこもる劉璋軍6千の兵を追い出せば、永安の完全制圧が完了する。港までの移動に随分と時を費やすのは必至なので、段超が建寧に辿り着くまでにというのは難しそうだ。


「こちらが相手のペースに合わせる必要はない。真正面からぶつかるな。横合いから攻撃して、敵の戦力を削り取れ。なんなら永安を一時明け渡しても構わん。とにかくこちらの兵士は一人たりとも死なせるな。」
董清の指示を受け、全部隊とも永安を南側から迂回するように展開した。がら空きとなった永安へまっしぐらに直進する呉蘭隊へ南側から火矢の集中砲火を浴びせる算段だ。おそらく呉蘭は踏みとどまって応戦するよりも、永安城へ逃げ込むことを優先させるだろう。それは彼の永安城奪取の目的を叶え、将としての面目を保つことであり、部隊としても被害を抑えることにつながる。よって反撃なぞあろうはずもなく、一方的に攻撃を浴びせる事のできる絶対的に優位な立場を得られる。永安城へ入れる兵の数はおそらく極少数であり、それらで一城を守るのは至難であろう。よって再奪取も容易である。


 自分の部隊が見る見るうちに少なくなっていく。呉蘭は悪夢を見ているようだった。港を出発したときはゆうに6千は下らない兵数を誇っていたにも関わらず、今や5百程度にまで減らされている。一体どこで自分は道を誤ったというのだろう。当初は永安城までの開かれた道をひたすら進むだけで良かった。遭遇した敵は皆一目散に逃げていくだけだった。だがいつしか後衛が矢を射掛けられるという報告を受けるようになった。敵の攻撃は散発的な為、大したことではないと思った。しかし徐々に敵の数は増えていき、後衛が混乱し始めたと気付いた時には遅かった。逃げようとする後衛部隊に押されるように、前衛の移動速度も上がり、いつしか逃げている時のように全力疾走で歩兵が永安城へ向けて進むようになっていた。その間にも矢の攻撃は続くが、最早踏みとどまって反撃しようとするものはいなかった。そして気付けば部隊は10分の1以下になっていたのである。


 永安への再攻撃が始まった。といっても敵方に最早抵抗するだけの力はない。城門の突破、主要各施設の確保、敵将呉蘭の逃亡と一連の出来事がわずか数日のうちに起こり、短期間で永安城に掲げられる旗の色が再度変わることになった。住民にすれば良い迷惑で、どちらの勢力でもいいから早く騒乱を終わらせて欲しいというのが本音であった。荀攸はその辺の実情を見て取り、董清にまずは市内巡察による治安取締りを行うよう進言した。また開発政策を推し進め、騒乱により仕事を失った者達に働き口を与えることも提案した。董清はそれらの施策をすべて是とし、早速実行に移すよう鬼龍に命じた。永安の経済が立ち直り、後方基地として機能するようになれば、いずれ孫呉と事を構えるようになった時に大いに力になるはずである。
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【2014/04/18 09:00 】 | 三國志 | 有り難いご意見(0)
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