専任教師トラフディルに召集をかけられた拙僧たち新入生は、大学を出て一路サウザールに向かった。
この遺跡の発掘を手伝いつつ、魔法の危険さを学んで欲しいという意図らしい。
同級生は皆、座学よりも実践を好むタイプなので、大喜びだ。
教師の一人アーニエル・ゲインに頼まれ、魔法の遺物を捜索中、不思議な扉を見つけた。
扉の表面に陽炎がゆらめいている。
近くに居合わせたトラフディルは、拙僧に破壊魔法を扉に向けて放て!という。
初回の授業時には訓練と評して、電撃を飛ばす過激なおっさんの言である。
やや躊躇したが、ええい、ままよ!と火球を放った。
すると中から空洞が現れた。
「大発見だ!」と興奮して、中に入っていくトラフディルの後に、拙僧も続いた。
「これ以上進んではならない!」
急に目の前に現れた幽霊が、警告してきた。
横を見ると、トラフディルには見えていないらしい。ただまぶしくなった室内を不思議そうにきょろきょろと見回している。
幽霊があーだこーだと警告を続けた後、消え去った。
その旨を告げると、トラフディルは頑として、退去を拒絶し、前進すると言い放った。
「世紀の大発見を目の前にして、今更引き下がれるか!!」
・・・魔法使いって、自分勝手だよな~。
先を進むと、遺跡の様子は一変し、亡者や罠がわんさかと出てきた。
(びびった様子がありありと出ている)トラフディルは、自分はここで調べ物をすると急に言い出した。
「お前は先に進んだほうが良い。」
「は?魔法生徒の新入りを一人で先に行かせるというのか?」
「訓練になる。」
「・・・・。」
「当初からの予定通りだ。」
「・・・分かった。」
魔法の危険さを学ぶっていう、当初の目的を引っ張り出してきましたよ、この人は。
なーんか違う気がするけどね~
本当につくづく思うけど、魔法使いって・・・自分勝手だよなー
ぶつぶつ言いながらも、先に進んだ拙僧はとうとう遺跡の奥深くで凄いものを見つけてしまった。
「な、なんじゃ、こりゃ~~!?
」
「こ、ここは私に任せて、お前は大学にいるアークメイジ(校長先生みたいな人)に報告せい!」
「あんた、いつのまに来たんだ?」
気がつくと、トラフディル先生が背後に立っていた。
大発見を目の前にして、興奮しているようだ。
「いや、ずっとお主の後に付いて・・・じゃない。調査を続けながら、進んできたんじゃ。」
「ま、いーけど。拙僧が行ってしまうと、ここで一人きりになるが大丈夫か?」
「差し迫った危険は、お前が取り除いてくれたようだからな。大丈夫だ。私はこの不思議なものの
第一発見者として、いますぐ調査と研究を始めることにする。」
「・・・ま、いーけど。」
本当に魔法使いって・・・
「新入りにしてはよくがんばったなー。お前の功績には報いねばならん。」
校長はそういって、拙僧に労いの言葉と報酬を与えてくれた。
「ただその発見はただ事ではない。お前には引き続き調査に協力してもらおう。」
「何をすればいい?」
「図書館に行って、司書と話をし、関連する本がないか探して欲しい。」
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